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FUJITAYA
第5章 送りたい相手
「え?…俺が?」

 声に出して答えることが恥ずかしくて、頷いただけになっても、彼は分かったらしい。

「ね、やきもち?」

「…わざわざ聞くなんて!」

「ごめんっ、めっちゃ嬉しい」

 いきなりそう振り返って笑顔を見せる要さんの表情に目を奪われ、気が付いたら今度は私が抱きしめられていた。
 さっきよりも強まる彼の匂いが、時々頭や背中をなでる手が、私をもっとドキドキさせる。

 抱きしめられていた力が弱まったから、要さんの顔を見たくて顔を上げた。

 すぐに要さんと目が合って…思ってたより近くて、思わず目を背けると頬を撫でられてビクッとしてしまった。

 小さな声で、私の名を呼ぶ声がするけれど、恥ずかしくて何も反応できない。

 ごめん、もう耐えれない…その声が聞こえた時には、顎を持ち上げられ、キスしていた。


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