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FUJITAYA
第5章 送りたい相手

 目が覚めた時、私はいつものベッドの上で寝ていた。
 部屋には私一人。何も変わらない朝だった。

 昨日、結局私はキスされながら、意識を失ったんだろうか…。キスした記憶もあれば、キスの感覚が嫌と言うほど残っているから、きっとそうなんだと思う。
 そんなことがあるんだとまた自分に呆れて、一層昨日の記憶を消したりできないかと悔やんだ。

 また、私は曖昧にして、要さんも失っていくのかな…と気分が落ち、スッキリしたくて布団から抜け出して、シャワーをしに行った。



 気分も入れ替えることができて、自分に余裕を持てるようになったからか、起きた時には気付かなかった、テーブルの上にある置き手紙に気が付いた。




今日はいきなりあんなことしてごめん。
話したいことがあるから、また連絡する。

藤田 要



 メールでなく、LINEでもなく、置き手紙ってなんでだろうと、少し笑えた。

 ちゃんと話をしてくれることが嬉しくて、良かったと思った。なかったことにされるのが、きっと一番辛いから。

話した時に、先に好きって言おう。それで付き合えないと言われたら、諦めよう。セフレって言われたら、文句の一つぐらい言ってそんなものは願い下げだっていってやる。そう思って強気でいても、心は苦しい。昨日に好きだと言えていればよかったと後悔しないか不安で仕方なかった。


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