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FUJITAYA
第5章 送りたい相手

 私は藤田さんのことを考え始めると、なかなか眠れず、仕事にも手を付けられないと、ひどい有り様だったので、もう今は考えないようにしようと編み物に専念した。
 結局は閉じて飾りを付けるだけだったため、すぐに完成してしまった。

 配達の時間を詳しく知らないけれど、今は要さんに会いたくない一心で、車がないときにFUJITAYAに行こうと決めた。先生に会いに行き、このマフラーを見てもらわないといけないから。



「……、よし、これで大丈夫だよ。よく編めたね」

 今日は土曜日で、加奈さんたちは病院に行き、要さんは配達で、先生が一人で店番をしていた。先生は優しく笑ってくれ、それがやっぱり要さんに似ていて、心が苦しくなった。

「鮫島さんは、要のことどう思ってるか?」

「えっ!?」

 先生がいきなりそんな話をするとは思わなくて、先生を見ると、嬉しそうに笑っていた。


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