この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
FUJITAYA
第5章 送りたい相手
私は藤田さんのことを考え始めると、なかなか眠れず、仕事にも手を付けられないと、ひどい有り様だったので、もう今は考えないようにしようと編み物に専念した。
結局は閉じて飾りを付けるだけだったため、すぐに完成してしまった。
配達の時間を詳しく知らないけれど、今は要さんに会いたくない一心で、車がないときにFUJITAYAに行こうと決めた。先生に会いに行き、このマフラーを見てもらわないといけないから。
「……、よし、これで大丈夫だよ。よく編めたね」
今日は土曜日で、加奈さんたちは病院に行き、要さんは配達で、先生が一人で店番をしていた。先生は優しく笑ってくれ、それがやっぱり要さんに似ていて、心が苦しくなった。
「鮫島さんは、要のことどう思ってるか?」
「えっ!?」
先生がいきなりそんな話をするとは思わなくて、先生を見ると、嬉しそうに笑っていた。