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海に散る桜
第1章 海に散る桜
 四月七日、小月飛行場。

 ここ小月飛行場で隊員と整備員は別れることになっていた。ここからは隊員のみ十二名で鹿児島の知覧飛行場へ向かうのだ。

 最後の整備を終え、葉山は竹田に対し、直立不動で敬礼した。

「ご、ごぶ、ご武運を」
「世話になったな」

 葉山は号泣していた。嗚咽の隙間から、辛うじて声を絞り出す。葉山とともに過ごしたのはわずか二ヶ月という短い間だった。だが、人懐っこく愛嬌者の葉山は実の弟のように可愛く思えてならなかった。

「バナナをありがとう」

 葉山が整備員で良かったと、竹田は思った。整備員ならば、自分たちのようにあたら若い命を散らすことはない。

「……いつまでも元気で」

 竹田は葉山に対し敬礼を返した。葉山は竹田が死んだ後も生き残って国を支えるのだ。それは死よりも尊いものに、今の竹田には思えた。

 泣きじゃくる整備員たちの見送る中、十二機の九九式高等練習機は何度も小月飛行場の上空を旋回し、南西の空へと消えた。
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