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海に散る桜
第1章 海に散る桜
 暗い。何も見えない。
 寒い。体か冷たい。
 ここは一体どこなんだ?

「おーい、こっちだ。早くこっちに来い」
「橋本? どこだ?」
「こっちだ」

 暗闇に、飛行服姿の橋本の姿がぼんやりと浮かんでいた。橋本は笑って手を振っている。闇の中を泳ぐように橋本に近づいた。

「約束だ。俺の命はお前にやる。だからお前は生きろ」

 だが追っても追っても、追いつく様子がない。橋本はどんどん遠ざかってゆく。

「待ってくれ橋本!」

 竹田は必死になって橋本を追いかけた。やっと追い付いたと思ったその瞬間、辺りが真っ白な光で包まれ何も見えなくなった。
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