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海に散る桜
第1章 海に散る桜
「ごめん、俺、もう抑えられそうにない」
「わかった。だからそんな目で見るなよ。こっちまで我慢できなくなる」
平静を装う橋本の体も、じっとりと汗ばんでいた。絡み合う二人の体の動きは次第に荒く激しくなり、頂点に達したところで互いの衝動を解き放った。
心地よい気だるさと解放感が、二人を包み込んだ。窓際に歩み寄った橋本が窓を開け放つと、ひんやりとした夜風が室内を吹き抜けた。
「あと何度、こうして呑気にお前と夜を過ごすことができるんだろうな」
竹田は橋本を見つめ小さく呟いた。二人は特別攻撃隊の一員だ。ひとたび出撃命令が下れば敵艦隊に突撃し、儚く散る運命だった。
「さあな。だから時間一杯まで我慢しろと言ったんだ。もったいない」
「ふ、もったいない、か」
「笑うな。見ろよ、いい月だ」
二人は並んで窓から夜空を眺めた。見事な満月が漆黒の空に浮かんでいた。あと何度、こうして並んで同じ空を眺めていられるのだろう。
二人に与えられた時間は旦夕に迫っていた。
「わかった。だからそんな目で見るなよ。こっちまで我慢できなくなる」
平静を装う橋本の体も、じっとりと汗ばんでいた。絡み合う二人の体の動きは次第に荒く激しくなり、頂点に達したところで互いの衝動を解き放った。
心地よい気だるさと解放感が、二人を包み込んだ。窓際に歩み寄った橋本が窓を開け放つと、ひんやりとした夜風が室内を吹き抜けた。
「あと何度、こうして呑気にお前と夜を過ごすことができるんだろうな」
竹田は橋本を見つめ小さく呟いた。二人は特別攻撃隊の一員だ。ひとたび出撃命令が下れば敵艦隊に突撃し、儚く散る運命だった。
「さあな。だから時間一杯まで我慢しろと言ったんだ。もったいない」
「ふ、もったいない、か」
「笑うな。見ろよ、いい月だ」
二人は並んで窓から夜空を眺めた。見事な満月が漆黒の空に浮かんでいた。あと何度、こうして並んで同じ空を眺めていられるのだろう。
二人に与えられた時間は旦夕に迫っていた。