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海に散る桜
第1章 海に散る桜
三月二十七日。ついに熊谷司令部より知覧飛行場への移動命令が下り、第七十九特別攻撃隊が編成された。隊員は竹田と橋本を含めて全部で十二名。部隊の出発は四月五日と決まっていた。
「おはよう、葉山君。小月飛行場まで一緒だな。よろしく頼む」
「おはようございます、竹田少尉殿。少尉殿と同乗でき光栄であります」
知覧に向かう部隊には途中まで整備員が同行する。九九式高等練習機は名前の通り操縦を練習するための機体であり、操縦席の後ろに教官が座るための座席が備え付けられている。竹田の機体には葉山が同乗することになっていた。
「あれ? お出かけですか?」
「ああ。ちょうどよかった。郵便局はどこだろうか」
「あ、はい。えーっと……」
竹田は地元で生まれ育ったという葉山に訊ねた。今日は機体の塗装のため川越から業者を呼んでおり、訓練は休みとなっていた。そのため竹田は街に出掛けて郵便局で電報を一本打つつもりだった。
葉山の口頭による説明は要領を得なかったので、簡単な地図を書いてもらい上着にしまいこんだ。
「おはよう、葉山君。小月飛行場まで一緒だな。よろしく頼む」
「おはようございます、竹田少尉殿。少尉殿と同乗でき光栄であります」
知覧に向かう部隊には途中まで整備員が同行する。九九式高等練習機は名前の通り操縦を練習するための機体であり、操縦席の後ろに教官が座るための座席が備え付けられている。竹田の機体には葉山が同乗することになっていた。
「あれ? お出かけですか?」
「ああ。ちょうどよかった。郵便局はどこだろうか」
「あ、はい。えーっと……」
竹田は地元で生まれ育ったという葉山に訊ねた。今日は機体の塗装のため川越から業者を呼んでおり、訓練は休みとなっていた。そのため竹田は街に出掛けて郵便局で電報を一本打つつもりだった。
葉山の口頭による説明は要領を得なかったので、簡単な地図を書いてもらい上着にしまいこんだ。