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堕天使 1st gig.
第9章 少年
いつも通りに後は所轄に現場を引渡し、俺達は本部に帰るだけだ。山を降り、本部に着いた頃は完全な深夜だった。雄太達に仮眠を取らせ、俺は宗司と面倒な書類仕事を片付けていた。

朝には交代が来て家に帰れる…

帰ればどうせリナがエアコンが使えないと俺にまた嫌な顔をするのかと俺はまたイライラする。宗司が冷ややかな顔で

『お腹が空いているなら食堂に行きますか?』

と苛立つ俺をガキ扱いしやがる。俺は宗司に

『軍人の家族になるって普通は辛い事か?』

と聞いてみた。宗司はクスクスと笑いながら

『そりゃ辛いでしょうね。でも、その家族を守る為の仕事ですよ。』

そう言われて俺は宗司の言葉に凹んで来る自分がわかる。宗司は

『しっかりして下さい。ダメ隊長は部隊にとって迷惑なだけですよ。』

と更に俺に追い討ちをかけて来るだけだった。起きて来た雄太達と食堂で朝飯を済ませ、交代要員に引き継ぎをして俺は家に向かっていた。

正直、帰るのが初めて辛いとか考えてしまう。マンションの駐車場に車を停めて俺はため息をついていた。

俺がリナと居る為にはリナの気温に合わせてやるべきなのか?誰かに合わせてやるとか今まで考えた事すらない俺はそんなくだらない事を考えてしまう。

答えはYesなのはわかっている。俺がリナと居たいんだから俺がリナに合わせてやらないとダメなんだ。

諦めたように車を降り駐車場を出ようとした俺の前に同じ駐車場に停めてあった他の車と車の間から何かが俺に突撃するように飛び出して来た。

一瞬、何が起きたかはわからなかった。ただ、条件反射的に身体が動いていた。俺は突撃して来たそいつを避けてそいつの腕を押さえていた。

何故ならそいつの手に小さなナイフが見えたからだった。

攻撃を受けた!?

それだけが頭の中を過ぎっていた。俺はそいつの手首を捻り、そいつの手からナイフが離れたのを確認してから、地面に落ちたナイフを踏むと、一気に駐車場の壁際にそいつを叩きつけるようにそいつの腕を捩り上げながら押し付け腰から抜いた拳銃をそいつの頭に構えながら

『何者だ?』

と尋問していた。ほとんど身体が本能的に動いた結果だった。
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