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堕天使 1st gig.
第11章 亡霊
アジア系の男は苦痛に顔を歪め、完全に怯えたように
『龍…大兄…。』
と途切れ途切れにだけ答えていた。俺が更にそいつに叫ぶ前に
『軍には捜査権はありません!』
と宗司が叫び、俺の手からアジア系の男を涼宮と宗司が引き剥がしていた。
俺が握っていた写真も取り上げられて、俺は宗司達に
『撤収する…。』
と大将に確認すらせずに勝手に言って倉庫の外へと出ていた。俺が見た写真は鮮明で、間違いなく翔と思われる人間が写っていた。
俺が最後に会った時よりも、かなり老けてはいたが、それは間違いなく翔だと俺は思っていた。
宗司が俺の傍に来て
『一体どうされたんですか?隊長殿はあの写真の男を知っているのですか?』
と聞いて来る。俺は宗司に
『お前には関係ない。機密保持レベルが足りないからな。』
と突き放すように答えていた。ただ宗司は綺麗な女みたいな顔を寂しげに歪めて
『それでも僕は、貴方のバディです。』
とだけ言っていた。それは俺だってわかっている。だから俺は宗司が居ないと何も出来ないダメ隊長に成り下がっていたんだ。
だけど、俺は人から触れられたくない部分があると、そうやって、人を傷つけてでも遠ざけようとする癖があった。
俺は宗司に
『疲れたから俺の代わりに大将殿に挨拶に行ってくれないか?』
と甘えていた。宗司は
『この程度の作戦で疲れてるとか、日頃がたるんでいる証拠です。』
といつもの涼し気な顔で言ってから大将のところへと向かっていた。
なんなんだ?翔は一体、何をしてるんだ?
吐き気がしそうな自分を押さえ込むだけで今の俺は精一杯だった。
俺に足を洗えといい、俺に高校は行けと言った翔は口癖のように
『お前と俺は似てるから、だからお前は俺のようには絶対になるな…。』
と俺に言っていた。だったら出所してからでも、翔にだっていくらでもやり直すチャンスはあったはずだ。
俺が施設で意地になって馬鹿な事を繰り返していた事を止めさせた翔ならば、翔自身も意地になればなるほど自分が深みに落ちる事を嫌というほどわかっていたはずだ。
『龍…大兄…。』
と途切れ途切れにだけ答えていた。俺が更にそいつに叫ぶ前に
『軍には捜査権はありません!』
と宗司が叫び、俺の手からアジア系の男を涼宮と宗司が引き剥がしていた。
俺が握っていた写真も取り上げられて、俺は宗司達に
『撤収する…。』
と大将に確認すらせずに勝手に言って倉庫の外へと出ていた。俺が見た写真は鮮明で、間違いなく翔と思われる人間が写っていた。
俺が最後に会った時よりも、かなり老けてはいたが、それは間違いなく翔だと俺は思っていた。
宗司が俺の傍に来て
『一体どうされたんですか?隊長殿はあの写真の男を知っているのですか?』
と聞いて来る。俺は宗司に
『お前には関係ない。機密保持レベルが足りないからな。』
と突き放すように答えていた。ただ宗司は綺麗な女みたいな顔を寂しげに歪めて
『それでも僕は、貴方のバディです。』
とだけ言っていた。それは俺だってわかっている。だから俺は宗司が居ないと何も出来ないダメ隊長に成り下がっていたんだ。
だけど、俺は人から触れられたくない部分があると、そうやって、人を傷つけてでも遠ざけようとする癖があった。
俺は宗司に
『疲れたから俺の代わりに大将殿に挨拶に行ってくれないか?』
と甘えていた。宗司は
『この程度の作戦で疲れてるとか、日頃がたるんでいる証拠です。』
といつもの涼し気な顔で言ってから大将のところへと向かっていた。
なんなんだ?翔は一体、何をしてるんだ?
吐き気がしそうな自分を押さえ込むだけで今の俺は精一杯だった。
俺に足を洗えといい、俺に高校は行けと言った翔は口癖のように
『お前と俺は似てるから、だからお前は俺のようには絶対になるな…。』
と俺に言っていた。だったら出所してからでも、翔にだっていくらでもやり直すチャンスはあったはずだ。
俺が施設で意地になって馬鹿な事を繰り返していた事を止めさせた翔ならば、翔自身も意地になればなるほど自分が深みに落ちる事を嫌というほどわかっていたはずだ。