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堕天使 1st gig.
第11章 亡霊
軍人が現場で負傷した場合は有無を言わさず優先されるのだが、リナの場合、あくまでも俺個人の保護下にある関係者という立場だからだ。

呑気に受け付けにいた女が

『どのくらいの緊急性がある患者ですか?』

とか言っている言葉に俺はまたしてもキレて

『てめぇが診察するわけじゃねぇだろ!さっさと医者を呼べ!』

と他の外来患者が怯えるくらいの声で俺はその女に怒鳴り散らしていた。

『少佐!?』

と知った声が俺の後ろからするから振り返るとリナを初めてこの病院に連れて来た時に色々と面倒を見てくれた年配の看護婦が立っていた。看護婦は俺に

『かなり緊急の患者って連絡が来たんですが、また少佐ですか?』

と目を丸くして聞いて来る。俺は

『ああ、あの時の子だ。』

と答えていた。これ以上の受け付けでの騒ぎは困るとばかりに看護婦は

『とにかく、こちらへ。』

と空いている診察室へと俺を案内してくれた。診察室のベッドに芋虫のリナを寝かせると看護婦が

『凄い熱みたいですけど、何が?』

と事情を俺に聞いて来る。俺は

『俺は任務で居なかったからわからない。ただ、リナは夕べからこうなったと言っていた。』

と答えていた。看護婦は

『すぐに先生が来ますから、少佐はとりあえずこれを書いて下さい。』

と患者の問診票という奴を渡して来た。リナのカルテは既にあるが、あの時はリナはアンノウンの扱いでの診察だった。

今はアンノウンではないのだから、病院としての記録の為にそれが必要なんだと看護婦が言っていた。

問診票に俺はリナのIDや俺のIDを書き込み、リナの体調について書き込んでいく。

だけどその問診票の質問から、リナに体調についての情報を俺はほとんどわかっていない自分に気付かされていた。

リナを失うのは嫌なくせに、俺はリナの事なんか何もわかっていない。

そうやって俺が問診票に叩きのめされていると前にリナを診察した医者が来て

『彼女の体調不良らしいですね。だから、他の患者を後回しにして来ました。』

と笑っていた。
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