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堕天使 1st gig.
第15章 温泉
1日中、興奮するリナを抱く事すら出来ないまま俺は

『今日はさっさと寝ろ!』

とリナを抱えて寝かしつける。リナはただひたすらご機嫌で

『アルト…、ありがとう。』

と言って眠っていた。

まだ出掛ける前に礼を言うとか、どんだけ気が早いんだ?

そういうリナに呆れるが、そういう事もリナには必要なんだと俺は思わされるから俺はリナの言いなりだ。

普段はしてやれない事を俺がしてやるとリナがやたらと喜ぶから俺はそれはそれで悪くないとか思っていた。

翌朝は張り切ったリナに叩き起されて俺はアクビをしながらリナが入れたコーヒーを胃袋に流し込んでいた。

朝飯はリナは食うが俺は気まぐれにしか食わない。だから、リナはコーヒーだけは必ず俺の為に用意する。いつの間にかリナは俺の好みを覚えて俺にそれを当たり前のようにしてくれる女になっていた。

『そろそろ出るから、窓とか閉めて、ガスの元栓も気を付けろ。』

と言った俺にリナが家中の戸締りをチェックして

『大丈夫だよ。』

と玄関に向かっていた。俺の居ない間の留守を守るリナだから、そういう事には随分手慣れているように見えた。

『なら行くぞ。』

そう言って俺はリナの荷物を持って家を出ていた。車を走らせて30分、高速に乗り、約1時間を走る頃には退屈し始めたリナが

『アルト~…。』

と情けない声を出して来る。

『運転中…。』

そう答えた俺に

『運転中…、仕事中…、アルトは放置プレイ好きのサド隊長…。』

とリナがブツブツ言いやがる。挙げ句にナビを弄り出し、ナビから

『目的地を変更しました。』

と音声ガイダンスが流れ出す。

『お前…、温泉に無事に着きたくないらしいな…。』

キレかけ寸前の俺にリナは

『静かにしてまぁす。』

とやっと大人しくなっていた。高速を降り、そこから川沿いの道を山に向かって30分も走るとやっと目的の温泉街に入っていた。

チェックインは昼過ぎだが、荷物と車を先に旅館に預けてから俺はリナと街を観光していた。
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