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堕天使 1st gig.
第2章 仕事
そこから俺は入隊式が行われる講堂へと向かっていた。講堂では既に今期の入隊兵が並び、誰もが大人しく式の始まりを待っていた。

訓練兵は高卒なら2年、大卒なら学科の免除から1年の訓練をこの学校で受ける事になる。全国に20箇所ほどある訓練学校から主席で卒業した者には更に1年の特別訓練を受ける資格が与えられる。

俺が軍に志願した頃はそんな特別訓練のカリキュラムはなかったが、僅か3年の大戦で階級だけ高いキャリアが指揮を取り率いた部隊の生存率が、高卒の2年の訓練を受けた部隊に比べてあまりにも低いという結果から、キャリアでなくとも1年の特別訓練でキャリアと同じ指揮官の道を進めるように組まれたカリキュラムが、俺が担当する特別訓練だ。

つまり、軍でははみ出し者のトップクラスであるこの俺が未来の軍でエリートとなる連中を指導するという奇妙な状況が毎年ここで繰り広げられているという事だ。

入隊式の始まりを待つ間、我慢とか出来ない俺が再びあくびをしようとすると俺の踵が蹴飛ばされる。そうやって俺の後ろに控えた宗司の奴が俺を容赦なく攻撃する。

本来、教官ではない宗司なのだが、俺の副官という立場だけで必ず俺の後ろに控えてやがる。宗司がそうやって居る以上、俺は今から2時間は退屈な入隊式をあくびを噛み殺して過ごす事になる。

入隊式では学校長の挨拶から始まり、各教官の紹介、張り切った教官からは有り難くない軍人としての心得の話しなどがされていく。

軍人として?そんな余計な事を考えてたら戦場じゃ真っ先に死ぬだけだ。

そんな悪態を飲み込み、早く入隊式なんぞ終われとガキみたいに考える俺は、入隊式が終わり次第、真っ先に講堂から飛び出していた。

訓練学校から本部に戻る地下通路を抜けながら、心置きなくあくびをする俺に向かって宗司が

『全く、毎年、毎年、貴方って人は…。』

と不機嫌に目くじらを立てて来る。はっきり言って俺はそういう事にはとことんガキになる人間だ。俺は宗司に

『無事に終わったんだから文句ばかり言うなよ。』

と言っていた。
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