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堕天使 1st gig.
第16章 拒否
宗司の機嫌がいいのは良い事だが、瑠衣がいつまで俺の拒否に大人しくしているのかが俺は疑問だった。

中学の3年だった俺は義侠会でチンピラだった翔と街の繁華街で会っていた。そこをたまたま塾帰りの瑠衣に出くわした。

口すら効いた事がない瑠衣だったが、学校側にとやかく言われたら面倒だと俺は思っていた。施設じゃ色々と規則があり、学校帰りにそういう街に居たと言われたら俺はしばらく外出禁止にされたりするからだ。

だが、瑠衣は何も言わずに黙っていた。ただ、3日くらい後の放課後にいつものように翔と会う為に学校を出ようとした俺に部活中の瑠衣が駆け寄って来て、俺に向かって

『ああいう人と付き合うべきじゃないわ。』

と如何にも学級委員らしく俺に言って来た。俺は

『同じ施設の奴だ。だからお前にとやかく言われる筋合いはない。』

と瑠衣に言い返して学校を出ていた。瑠衣は俺の口から施設という言葉が出た事に驚愕して、それ以上は何も言わなかった。

それからしばらくして、俺は放課後に学校の図書館に通うようになっていた。翔から高校には行けと言われたからだった。

勉強なんかやり方すらわからないがせめて教科書くらいは読もうと考えたからだった。放課後の学校の図書館は無人と言ってもいいくらい人が居なかった。

その方が俺には都合がよく、独りで翔と待ち合わせの時間になるまで俺は図書館にいた。学校からは俺が毎日図書館に居ると施設に連絡が行くから俺は施設の門限が過ぎてもあまり施設からは文句は言われずに済んでいた。

そこへ、部活を引退した瑠衣が来るようになった。始めは本を返しに来ただけの瑠衣が俺に

『勉強なんかするんだ?』

と声をかけて来た。俺は

『とりあえず進学するからな。』

と答えていた。瑠衣はただ教科書を読むだけの俺に

『勉強は教科書を読むだけより、書いて問題を解いた方がいいのよ。』

と言って来た。この貧困時代に塾に行くお嬢様の瑠衣に俺は笑っていた。俺は瑠衣に

『余分なノートなんかねぇんだよ。俺は施設の子なんだからな。』

と鼻で笑って言ってやっていた。
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