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堕天使 1st gig.
第16章 拒否
足の速さは雄太がうちじゃNo.1だ。その雄太に大地がついて行ければ死ぬ事はない。

俺は宗司と手分けしながら4階の小部屋を確認しながら、動く奴が居ればマシンガンをぶち込んで行く。

『4階制圧。』

と動く奴が全て片付いた事を確認をして俺は3階に向かって降りていた。階段の途中で俺と宗司がマシンガンの弾倉を変えた瞬間、無線で

『3階制圧。』

と涼宮の声がした。そのまま、1階、2階と制圧の無線が立て続けに入り、俺は本部に向かって

『制圧完了。』

と無線を飛ばしていた。一気に、外で待機していた大隊が流れ込み、俺はその大隊に逆らうように1階まで降りてビルの外に出ていた。

外に居た大地に

『お前のマシンガンと予備弾倉を寄越せ。』

と俺は言っていた。大地は不思議そうな顔で慌てて俺にマシンガンと弾倉を渡して来る。俺は大地のマシンガンの弾倉と予備の弾倉の残弾数を確認した。

俺の予想通りに大地は1発も撃っていなかった。いや、前を走る雄太について行くだけに必死の大地は撃てなかったというのが事実だ。

俺は大地にマシンガンと弾倉を返しながら

『人任せなら死ぬぞ。』

と言ってやった。大地は一気に青ざめた顔に変わり

『申し訳ありません。』

と言っていたが、俺は聞こえないフリをして大将のところに撤収の挨拶に向かっていた。

本部に帰る装甲車じゃ俺は雄太達といつも通りにじゃれて騒いでいた。ただ大地だけが黙ったまま厳しい顔で塞ぎ込んでいた。

そんな大地を慰めてやるのは簡単だが、慰めたところで大地自身が変わらなければ、いずれ戦死するのは大地になる。

だから俺は大地が自分自身でその答えを見つけるまでは冷たいようだが大地を突き放し続けていた。

そして瑠衣に対しても大地とは違う意味で俺は突き放し続けていた。

いつも通りに本部で報告書を済ませ、交代が来れば2日の休暇が待っていた。束の間の平穏をとりあえずは勝ち取ったんだと俺は宗司達と笑い、家にいつも通りに帰るだけだった。
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