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堕天使 1st gig.
第17章 女王様
僅か5周目で約半分以上を黙々とハヤトが周回遅れにしていた。涼宮も似たようなものだった。

問題は雄太だ。5周目で現在トップの訓練兵に

『ほらほら、張り切って走らないと抜いちゃうよ。』

と余裕の笑みで煽っていた。全ての周回が済む頃には多い奴で5周、少ない奴でも3周のペナルティが訓練兵全員に付いていた。

『日頃の訓練が足んねぇみたいだな。』

と俺はバテまくりの訓練兵達に言っていた。今年は未だにハンデを当たり前にする奴がいない。そういう意味では大地は優秀だったと言えるのだが、それでも大地は雄太達に比べてまだまだだ。

訓練が終わった雄太が瑠衣に

『昼飯一緒に行こうよ。』

といつもの軽いノリで誘っていた。瑠衣が俺の顔を見るから雄太が

『隊長も行くっしょ?』

と俺に聞いて来る。俺は

『学校の食堂は行かねぇよ。』

と言って宗司やハヤト、涼宮を連れて本部に向かっていて、雄太だけが瑠衣と学校に残る形になっていた。何故なら瑠衣は対テロの本部には入れない。

対テロは機密部隊である以上、同じ軍属でもある程度の機密レベルを所持した者しか入れない規定がある。基本的に瑠衣と関わりたくない俺はそうやって瑠衣を突き放し続けていた。

食堂じゃ、毎度同じみ五十嵐が

『支倉はどうだ?』

と大地の事を俺に聞いて来る。俺は

『知らねぇよ。俺は今朝は学校だったしな。』

と答えていた。五十嵐は

『支倉に一度お前さんがケツの穴の小さい男だってとこ見せてやれば解決する問題だろ?』

と茶化すように言って来る。俺は笑って

『絶対にやだね。』

と五十嵐に言っていた。五十嵐の言う通り、大地は勝手に俺に憧れて勝手に俺を届かない存在だと思い込んでいる。だから俺が普通の男だと理解すれば終わる話しだが、俺は俺のプライドって奴がある。

雄太が挑んで来ても絶対に負ける訳にはいかないプライドがある以上、大地にそんな姿をわざわざ見せてやる気にはならない。

五十嵐は

『そういうガキっぽいところをそのまま見せりゃいいだけだろ?』

と俺に呆れていた。
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