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第17章 女王様

そんな瑠衣にいつもなら誰にでもニコニコと挨拶をするリナが俺の手を握って警戒するように瑠衣を見ていた。

『どうした？』

と一応俺は瑠衣に聞いてみた。またしても小雪か雄太辺りが瑠衣を誘ったのかと思ったからだ。瑠衣はリナに

『こんばんは。』

と先手を打つように優雅な笑顔を見せてから俺に

『待ち合わせなの。』

と答えていた。リナは小さく呟くように

『こんばんは…。』

とは言ったがリナの手に力が入るのを俺は確認していた。店の前でグダグダしていても仕方がないから俺はリナを連れて店に入っていた。

瑠衣も続けて入って来たから、俺とリナを見つけた小雪が

『誘ったの？』

と俺に瑠衣の事を聞いて来た。俺は普通に

『店の前で会っただけだ。待ち合わせらしいぞ。』

と言っていた。一応、今は小雪とリナは仲が良いから俺と瑠衣の関係を小雪はあまりいい顔しない。だが、仕事だと俺が完全に割り切っている事を理解している小雪は今のところは何も言わない感じだった。

リナが少し不安そうにカウンター席に向かった瑠衣を見て

『誰？』

と聞いて来た。俺はリナに

『訓練学校の俺のサポート。』

と答えてから瑠衣を見た。瑠衣は如何にも普通の優しげなサラリーマン風の男と待ち合わせているようで、瑠衣の隣に座っているその男と何か会話をしていた。

雄太が

『なんだ…、彼氏持ちじゃん…。』

と瑠衣を見て言っていた。ただリナがずっと大人しく、宗司が

『どうかしましたか？』

と気を使ってリナに聞いていた。俺は宗司に

『俺がパンツを買いに行かないって、今朝からリナが不機嫌なんだ。』

と言っていた。宗司はリナに

『ちゃんと買いに行かせますよ。』

と言っていたがリナは小さく頷くだけだった。

30分くらいした頃、瑠衣が険しい顔でカウンター席から立ち上がり、そのままスタスタと店を出て行ってしまった。残された男は慌てるように店に支払いをしてから瑠衣を追いかけるように店から出て行き、小雪が

『なんか、まずい状況を見ちゃった気分？』

と俺に言っていた。