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第19章 負傷

なのに、俺達は情報だけが頼りの作戦で、その情報に裏切られた怒りを俺は五十嵐にぶつけていた。

五十嵐は厳つい顔を苦痛で歪め、更に厳つくしてから

『すまん…。』

と一言だけ残して俺の前から立ち去っていた。俺は俺を押さえつけていた涼宮とハヤトに

『俺に触るな！』

と叫び、２人を振り払って２課の部屋に入っていた。時刻はもう深夜だった。報告書も何も俺は手につかず、ただ自分のデスクでうずくまっていた。

涼宮が

『報告書は休暇明けでいいそうです。帰って寝て下さい。』

と俺に言っていたが俺は涼宮の言葉を無視していた。雨が止み、窓の外が明るくなり始めた頃に、再び涼宮が俺の前に来て

『篠原副官は無事です。軽傷と脳震盪を起こした為に一時入院はされますが、命に別状はありません。』

と報告をして来た。俺は涼宮に

『悪かった。自分の分の報告書が終われば帰っていいんだぞ。』

と言ったが涼宮は

『自分はもう仮眠を済ませましたから。』

と俺に父親の顔で笑っていた。ずぶ濡れだった俺はロッカールームでシャワーを浴び、予備の戦闘服に着替えていた。

本来なら俺の交代が来て俺は休暇に入るのだが、交代で来た顔馴染みの地方対テロの松原に

『ちょっとだけ出掛けて来る。』

と言って俺は１人で本部を出ていた。基地に隣接するリナが居た軍人病院に俺は向かっていた。今はそこに宗司が居るからだった。

宗司の病室を確認して俺が宗司の病室の扉をノックすると俺の予想外に中から扉が開けられて、扉の前にはとんでもない美人が立っていた。

まさに美人としか言えない人だと思った。男なら誰もがそういう反応をしてしまう美人…、街ですれ違うだけでもう一度見て確認してみたいと思わせる美人に俺は部屋を間違えたかと焦っていた。

その美人が振り返り、ベッドに向かって

『宗ちゃん、軍の方。』

と言ってから俺に

『どうぞ。』

と病室の中へと招き入れた。俺はベッドに座っていた宗司に

『えーっと…。』

と答えを求めていた。宗司はいつもの涼し気な顔で

『自分の彼女です。僕の緊急連絡先は彼女のところになっていますからね。』

と答えて来た。