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堕天使 1st gig.
第19章 負傷
普段、全くプライベートを見せない宗司に俺は

『んあ?』

としか言えなかった。ある意味、なるほど…、と感じる部分があったのは、女みたいに綺麗な顔の宗司だから、このくらいの美人なら付き合っていると言われても納得が出来るという部分だった。

美人の三上 彩華さんが宗司にクスクス笑いながら

『宗ちゃん、まだ言ってなかったの?』

と言っていた。宗司は

『言うタイミングがなかっただけだよ。』

と彩華さんに答え、俺は初めて宗司が敬語を使わない人間が居るのかと驚いていた。驚く俺に宗司は

『明日には退院しますから、心配なさらずとも休暇明けにはすぐ戻りますよ。』

と言うから俺は

『しばらくゆっくり休んでいいんだぞ。』

と言っていた。だが、宗司は

『書類が貯まるのが嫌なんです。それよりも貴方は早く帰って寝て下さい。どうせ夕べから寝てないんでしょうから。』

とやはりいつもの俺の女房のままだった。宗司の無事を確認して俺が病室を出る時に彩華さんが病院の入り口まで俺について来た。

別に見送りとか俺は要らなかったのだが、彩華さんが

『宗ちゃんに頼まれた買い物があるんです。』

と言って俺に気を使ってついて来ていた。入り口まで行く間に俺は

『宗司とはいつから?』

と彩華さんに聞いていた。彩華さんは

『小学校に入る前からですから…、もう20年以上です。元々、家が近所で幼なじみなんですよ。』

と笑って答えていた。宗司とそういう関係になったのは対テロが出来た頃だったらしい。彩華さんは

『付き合う時に、宗ちゃんから僕には既に手のかかる旦那が居るんだって言われましたから。』

と俺に意味ありげな顔をしていた。長い付き合いだから、そんな宗司で構わないと彩華さんは付き合っている。だから、宗司はプライベートを見せずにやって来れたのだと思っていた。俺は彩華さんと別れる時に

『都合が合うなら焼き鳥屋に宗司と来ればいい。』

とだけ言って本部に戻っていた。本部では少しでも宗司の手を煩わせないようにと俺は報告書などの書類に向かっていた。
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