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堕天使 1st gig.
第20章 花火
花火が終わり、やっと人混みが引き、俺と涼宮家だけは五十嵐に先に帰れと言われていた。

涼宮のところも子供が限界だったし、俺のところはリナが限界だったからだ。俺は五十嵐に

『ありがとうな。』

と言っていた。五十嵐は

『お前さんのそういうのは怖いから止めろ。』

と笑っていた。

家にリナを連れて帰るとリナはベッドで完全に潰れていた。暑さが苦手なリナにはまだまだ夏が続くのが相当辛いように俺には見えた。

『水、飲むか?』

そう聞いた俺にリナが

『今はいい…。』

と言って眠っていた。そういうリナを見て今はやはり平和で世界は軍縮すべき時代なのかと俺は考えていた。だが、軍を辞めたら自分が何をしていいのかわからない俺はそれ以上その事を考えるのが嫌になっていた。

しばらくして、任務として俺と宗司は五十嵐と五十嵐の副官と基地の外に向かっていた。宗司が運転する車で宗司の隣に五十嵐の副官が座り、後部座席に俺と五十嵐が各副官の後ろに座っていた。

不機嫌な俺に五十嵐が

『我慢しろ。』

とか言いやがる。今日はサミットの為の警護会議だから、全体の顔合わせに政府ビルに警視庁や公安にSPの関係者、そして軍からは市兵と対テロが参加する為に集まるのだ。

俺は

『五十嵐さんと副官だけでいいだろ?』

と言ってはみるが、五十嵐は

『現場の隊長はお前さんだぞ。』

と呆れていた。そんな俺に五十嵐の副官がクスクスと笑うから五十嵐が

『岩本、失礼だぞ。』

と自分の副官をたしなめていた。

ああ…、確か、岩本 さゆり?いや、さゆみだったかな?

そうやってなんとか五十嵐の副官の名前を思い出そうとしたが、やはり俺は中途半端にしか思い出せないままだった。そうやって考えている俺に五十嵐が嫌味をように

『コイツ、こう見えてパーフェクトメモリーが特技だぞ。』

と五十嵐の副官を指差して言って来た。

『んあ?』

と聞いた俺に宗司が

『1度見た人間と名前は絶対に忘れないらしいですよ。』

と俺にわかるように説明してくれていた。
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