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堕天使 1st gig.
第26章 訓練兵
戦地では補給班の嫌がらせは命取りになると言われている。だから、補給班の連中は弱い割には強気で喧嘩を仕掛けて来るので有名だった。

俺を叱り飛ばした宗司は冷静に

『今回の事は上に報告すればそれで済む事です。そうすればあんな班長よりももう少しまともな班長が来る事になるのですから、1発くらいこっちが殴られても損にはなりません。』

と言って食堂から出て行った。その日から俺や雄太、山内は宗司にだけは逆らわず怒らせずが一番だと話し合って決めていた。

明石はそうやってギリギリまで手の内を見せない宗司とよく似ている。自分に自信があるから手の内を隠し相手に油断させているように見える明石には俺はかなり警戒していた。

指差した俺に宗司は涼し気な顔で

『別に隠してた訳じゃありませんよ。本気が出せるタイミングがなかっただけで、貴方には本気が必要だと思ったから見せただけです。』

と笑ってやがった。つまり、明石の手の内を見るには本気が必要だと明石に感じさせられる相手でないと無理だと言う事だった。

涼宮やハヤトも決して弱くはない、大地だって明石以外の訓練兵には負けないとは俺も思う。だが、明石には雄太のようにスピードに特化した奴や宗司のように体術を極めた奴独特のものを見せなければ本気をこちらに見せて来る事はない。

そうやって俺は明石について色々とどうしてやるかを考える。

明石の事ばかりを考え込む俺にリナと小雪が

『仕事優先…、これって、やっぱりある意味浮気だよね。』

『仕事優先で家庭を帰り見ないとか信じられない。』

とかくだらない事を言っていたが俺は2人を無視していた。美優は相変わらず俺の膝で寝ているだけの子で家に帰ってからも大人しく風呂に入ってミルクを飲んだらそのまま寝てしまうだけの美優だった。

リナが

『もう少ししたら、私かアルトのどちらかが美優をお風呂に入れる必要があるんだけど…。』

と言い出した。今は美優はベビーバスだが、そろそろそれが狭くなって来たからだ。一応、小さいとはいえ、美優は生まれた時の倍の体重にはなっていたから俺は

『俺に出来る訳がない。』

とリナに答えていた。
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