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堕天使 1st gig.
第27章 場所
所詮、施設上がりの子供なんぞ身元保証だなんだが必要だから、限られた仕事にしか就職なんか出来やしない。だからその時の俺は

『仕方ねぇだろ?』

と開き直るしか出来なかった。就職決定までは後半年もあるからと、俺はあまり翔が言っている事を真面目に考えようとはしていなかった。

そんな俺に翔は

『お前は俺と似てるからな。だから、俺みたいには絶対になるなよ。』

といつもしつこいくらいに俺に言っていた。

それでも、ただ雨がやたらと続き、いつもなら学校の屋上で出来る基礎トレーニングとかすら出来ず、俺は貯まるフラストレーションが嫌で翔の家に入り浸る事が増えている時期だった。

翔は基本的に俺には甘いから由紀さんにも俺が来たら飯を食わせてやってくれとか言っていて、由紀さんも笑って俺を受け入れているような人だった。

その時の俺は由紀さんが言う通りで、身体ばかりが1人前で頭の中はまだまだガキのまんまで、適当に就職して施設を出たら翔達と居る生活をするくらいだとしか思っていなかった。

俺が帰りたい場所だから…

俺がそう思える場所を翔と由紀さんが必死に作ってくれている事に俺は甘えているだけのガキだった。

夕方になり由紀さんが

『そろそろ仕事に行かなきゃ。』

と立ち上がり、俺は由紀さんに

『送るよ。』

と言っていた。由紀さんは

『子供に送ってもらってもね。』

と笑っていたが、どうせ俺も施設に帰る時間だったし、俺は

『子供でも力だけなら由紀さんには負けねぇよ。』

と笑って言い返していた。由紀さんは街の汚い繁華街の風俗店の女だった。経営は義侠会で義侠会でまだ下働きの翔と知り合い翔は

『俺がせめて幹部クラスになれば足を洗わせてやれるんだがな。』

と由紀さんを店から出してやる事ばかりを考える翔だった。由紀さんはいつも翔に

『無茶はしなくてもいいから。』

と寂しい笑顔を向けていた。由紀さんが風俗をしている原因が由紀さんの親の借金があるとかそんな話しだったから俺も就職したら翔に協力する事を考えてはいたが、所詮はまだ学生の俺が口を挟める状況ではなかった。
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