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第27章 場所

窓の外を俺が見るとまだ雨のままだったが、最近はそれなりに表情を出すようになった美優がご機嫌でキャッキャッと笑って俺の膝で俺の手を握って遊んでいた。

頭が重いし、身体がだりぃ…

そう思いながら、答えるはずのない美優に

『母さんはどこだ？』

と俺は独り言のように聞いていた。

リナはどこなんだ…

と俺がぼんやりと考えていると寝室の扉が開き、何故か宗司が

『目が覚めましたか？』

と俺に聞いていた。俺はぼんやりとした頭で

『なんでお前が居る？』

と聞いていた。宗司の後ろからリナが顔を出し

『夕べ、アルトが裸のまま寝て明け方に熱とか出すからでしょ？』

と言っていた。今の時刻はもう夕方で、明け方に熱を出した俺をどうしていいかわからないリナが彩華さんに連絡した為、彩華さんは仕事だからと熱冷ましなどの薬を宗司が預かって持って来たのだが俺が全く起きない為に今の今まで待っていたらしい。

『あの程度の雨で発熱するとか、相当身体が鈍っているんじゃないですか？』

と宗司がいつもの涼し気な顔で俺に言うから俺は

『うるせぇよ。』

と答えていた。体調の自己管理は軍じゃ基礎中の基礎の生活習慣だから、ちょっとやそっとで熱を出す軟弱な事をすれば馬鹿にされたって文句は言えない。

リナが

『起きれるなら、うどんを作るから食べて薬を飲んじゃって。』

と言い、宗司は

『なら、僕は帰りますね。』

と言って帰っていた。美優を膝から降ろし、トランクスしか履いていなかった俺はとりあえず服を着て美優を抱えて寝室からリビングに向かっていた。

台所に立つリナの姿が由紀さんと重なるような気がして俺は少し落ち着かない気分になっていた。

リナが俺にうどんを作る間も美優はご機嫌で俺の膝の上に座っていた。リナが美優を抱き上げて、俺の前にうどんを置くから俺はそのうどんを食ってから

『お前…、やっぱり料理の腕が上達しねぇな。』

とリナが作った不味いうどんに笑っていた。