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堕天使 1st gig.
第27章 場所
俺の言葉に怒ったリナが膨れっ面で

『不味くて悪かったわね!』

と叫ぶけど、それでも不味かろうとなんだろうとやっぱり今の俺が帰りたい場所がここなんだと思うから俺は真面目に

『不味くてもお前を愛してるよ。』

とリナに言っていた。リナはなんか照れくさいような顔をしてから

『さっさと食べて薬飲んじゃって。』

と紅い顔で俺に言っていた。

翔が欲しくて作ろうとした未来、翔が手に入れる事が出来なかった未来を、今の俺はやっと自分自身の手で作り出し手に入れたんだと思っていた。

もし、翔がまだどこかで生きているなら、俺はきっと翔を迎えに行ってこの家に翔を受け入れているんだろうとか思っていた。

あの時、翔と由紀さんが俺を受け入れてくれたように、リナと美優もきっと翔を受け入れるはずだから、俺は翔がもうどこにも居ないという事実が辛くて悲しく感じていた。

リナが心配そうに

『まだ熱で辛いの?』

と聞いて来るから俺は

『いや、俺の守りたい場所が出来たから俺は熱とか出してる場合じゃねぇよ。』

と自分に言い聞かせるようにリナに笑っていた。リナはいつものように

『無茶はしないでね。』

と俺の頬にキスしていた。そうやっていつもと変わらない日常に俺はいつか雨の音も受け入れてイライラする事がなくなって行くんだろうと思っていた。

俺はもう親父でガキじゃねぇんだ…

と少しは俺は俺なりに自分の成長を感じていた。

休暇明けは焼き鳥屋に行けなかった俺に雄太が

『体調管理に失敗するとか隊長も歳っすか?』

と俺を馬鹿にして来やがった。俺は

『お前、そんなに元気なら、ちょっと学校に付き合えよ。』

と雄太だけを連れて訓練学校に向かおうとしていた。雨のせいで基礎訓練が出来ないから屋内で近接戦闘訓練をやるしかないのだが、そろそろ明石の手の内を見せて貰おうとか考えていたからだった。

雄太だけに不満な大地が

『見に行っていいですか?』

と拗ねたように言うから俺は

『好きにしろ。』

と未熟者の大地に笑って答えていた。
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