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第29章 希望

夕方になり、今朝はご機嫌で出たはずの家に俺は憂鬱な気分で帰っていた。

俺が帰るなり、床を這って飛び出して来た美優を広い上げて俺は

『まずはお前の風呂からだよな…。』

とため息をついていた。とりあえずはいつものように美優を風呂に入れていつものように美優にミルクを与えて寝かしつける。

後は俺はいつものようにリナを抱えて夕飯だ。俺の変化に敏感なリナはクスクスと笑って俺の頬にキスしてから

『仕事でまた揉めたの？』

と聞いて来た。俺は

『来月に海外に演習で出張に行く…。』

と言っていた。リナは目を丸くして

『どのくらい？』

と聞いて来る。俺が

『２週間…。』

と答えるとリナの顔が一気に不機嫌になり

『長いね…。』

と言っていた。俺はそのまま

『婦人同伴だけどお前はどうする？』

と聞いていた。嫁だからと言って別に嫁は軍人でない限りは絶対参加の強制ではないからだ。あくまでも軍に家族も協力してますよ的な存在の象徴が嫁だというだけだ。

リナは不機嫌から不思議そうな顔に変わり

『何それ？』

と聞いて来た。

『だから…、指揮官以上は婦人同伴、つまり嫁や家族を連れて来てもいいよ的な…。』

とブツクサ俺が説明する中、リナの大きな蒼い瞳が更に見開かれ大きくなりキラキラと輝き始めて

『いいの？行ってもいいの？』

と完全に期待した顔に変わっていた。俺はただ

『お前が行きたいなら…。』

としか言えなかった。リナは少し不満そうに

『アルトは行って欲しくないの？』

と言い出した。俺は

『婦人だから婦人会の事とか色々問題が出るんだよ。それにあくまでも任務だから２週間って言っても中休みの１日しか俺はお前と居てやれないんだ。』

と答えていた。

リナは俺と結婚した段階で軍を支援する会、通称婦人会に自動的に登録されている。一応、婦人会の会費などは年間費が毎年俺の口座から引き落とされて、婦人会の年間予定表などが俺のデスクには届いているがそれがリナの手に渡った事は１度もないという状況だった。