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堕天使 1st gig.
第29章 希望
困った顔のリナがリビングから出て来て美優を抱えたままブーツを脱いでいた俺に

『今日の美優は母さんから逃げまくりなの。』

と苦笑いをしていた。

『んあ?』

『婦人会のお試し保育を3時間やったんだけど、帰って来てから私が信用出来なくなったらしくて、何故か美優が私から逃げるのよ。』

『そんな事とかわかるのか?』

『どうやら美優にはなんとなくわかるみたい。』

とリナはため息をついていた。

野生の勘ってやつか…?

美優が俺に似たのならそういう変な警戒心が強いのかもしれないとか思うと俺もリナと一緒にため息をついてしまっていた。

だが、俺に似たというより割には美優はもしかしたら頭が良いのかもしれないと思う時がある。

例えば、美優は時々俺を

『あー。』

と呼びリナを

『いー。』

と呼ぶ。しかも呼ぶ時はそれなりに使い分けているように俺を呼ぶ時はほとんどが抱っこでリナにはミルクかオムツという要求の時が多い。

それ以外はほとんどが宇宙語で美優が何を考えて望んでいるのかはわからないが、とりあえず俺は美優が

『あー。』

と俺に手を伸ばして来る時はなんとなく美優を抱っこするようにしていた。

風呂上がりはやっぱり美優が俺のところへ逃げて来るから俺が美優にミルクを与えて美優を寝かしつけていた。

眠った美優をベッドに放り込み、夕飯にリナを抱えて俺は

『で、お試し保育の結果はどうだったんだ?』

とリナに聞いていた。もし美優が泣くほど嫌がる場合はレセプションは諦める約束だからだった。リナは

『それがねぇ…、不機嫌にはなるけど、全く泣かないって結果だったんだよね。』

と答えて来る。お試し保育は来週にまた2日ほどやるとリナが言うから俺は

不機嫌だけど泣かないって、やっぱりなんかの呪いなのか!?

と美優という子が少し怖くなっていた。とりあえず飯を済ませ、ベビーベッドで眠っている美優の寝顔を俺が確認するとリナにそっくりな天使みたいな顔で眠っている美優だったから俺は少しホッとしていた。
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