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堕天使 1st gig.
第34章 信用
ハヤトはゆっくりと

『嫌な話しだとは思いますが聞いてもらえますか?』

と何故かリナを見て聞いていた。リナは美優を抱きしめて完全にハヤトに怯えた顔をしていたからだった。それは大地も同じようなもので初めてハヤトを虐待孤児と聞いた人間の当たり前の反応だった。

俺はリナの頭を撫でてリナは俺の手を握っていた。ハヤトはただ穏やかな顔をし、羽賀はハヤトと2人で自分達の昔話しを始めていた。

ハヤトと羽賀の両親も別に始めから虐待をしていた訳ではなかった。むしろ羽賀は初めての女の子供としてごく普通に育てられて来た。

ただタイミングが悪かった。ハヤトの父親の仕事先が経営不振に陥り、大幅な減給の状況になってしまった。羽賀がすぐに3歳になれば保育所に預けて母親が働きに行くと話し合いが毎日のように行われたと羽賀が言っていた。

そんな状況で母親の妊娠が発覚した。働けなくなった母親は羽賀の予想では親や親戚に金を借りるようになっていた。

そこから両親が変わっていったとやはりそこは羽賀が説明をしていた。

ハヤトが生まれ、母親はハヤトのミルクなどはギリギリまで薄めたものを羽賀に渡して与えさせていた。父親は酒を呑むようになり、腹を空かせたハヤトが泣くたびにイライラとするようになっていた。

ハヤトが成長し、美優くらいになった頃、ただ部屋の真ん中に座っていただけのハヤトを

『邪魔だ。』

と父親が蹴飛ばすようになっていた。羽賀は保育所に通い、母親は毎日のように

『ハヤトが居なければ働きに行けるのに…。』

と愚痴をこぼすように変わっていった。そこから徐々にハヤトに対しての暴力がエスカレートして行く事になった。

かろうじて食事だけは食べさせては貰えたが、例えば、ハヤトの紙オムツの金が勿体ないと2歳になったハヤトはいきなりオムツを取られ、おねしょに失敗すると両親から殴られて蹴飛ばされるという状況が続いていた。

そんな状況でハヤトは全く言葉を話す事もなく、それはますます両親の虐待をエスカレートさせる事になってしまった。

ハヤトが3歳になる頃にはハヤトは全身が傷だらけの痣だらけの子供になっていた。母親と父親は

『こんなみっともない子は保育所にも預けられない。』

とやはりハヤトへの虐待が収まる事はなかった。
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