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堕天使 1st gig.
第34章 信用
羽賀は公園まで走り、公園の隅の木の裏に隠れ、母親の携帯から110番をかけていた。

携帯に対応した警察官に羽賀は

『ハヤトが…、弟が殺される!』

と叫び続けたのだった。警察は羽賀にとにかく携帯は絶対に切るなと言い、羽賀はひたすら泣きながら助けてと繰り返すだけだった。

しばらくしてまずは羽賀が保護され、羽賀が家の場所を警察に教え、警察は羽賀の家に行き、嫌がる両親に

『とにかく、家の中を見せて下さい。子供のイタズラ電話にしては弟が殺されるとか普通ではありませんから。』

と無理矢理に家に踏み込んでいた。その時のハヤトは既に意識不明の重体で両親は虐待の現行犯として逮捕されていた。

羽賀も一時的には虐待のシェルターに保護されたが羽賀には虐待の事実がない事から親戚の間で羽賀を引き取る話しが出てしまった。

ハヤト虐待の両親の逮捕はトップニュースになってしまったから、かなり遠縁の親戚が羽賀だけならと引き取るという事が決定した。

羽賀はひたすらハヤトに会いたいと養父母に懇願したが、ハヤトが意識不明だからと会わせて貰えないまま半年が過ぎた。

半年後、やっとハヤトに1時間だけ面会が出来ると言われた羽賀は必死の思いでハヤトと面会の用意をしていた。

ハヤトの好きなオヤツ、ハヤトの好きなジュース、そんなものを用意して羽賀はハヤトが居るという施設に向かったのだが、施設から羽賀はとんでもない話しをされる事になってしまった。

1つはハヤトが無表情で何も話さないという事実、もう1つは羽賀の存在はハヤトに虐待を思い出させるから治療の邪魔になるという事実だった。

そんな話しをされ、1時間会えると聞いていたハヤトには5分しか会えないと羽賀は言われてしまった。

羽賀はハヤトに会い、傷は治っていたがやはり無表情なハヤトに

『ごめんね…、ごめんね。』

とやはり泣き続けるしか出来なかった。ただ無表情だったハヤトがその時、初めて首を横に振ったらしい。

羽賀はハヤトに

『必ずお姉ちゃんが助けてあげるから、いつか、お姉ちゃんがハヤトを引き取って一緒に暮らしてあげるから。』

と約束をして、再び兄弟は引き裂かれていた。
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