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堕天使 1st gig.
第1章 記憶
まるで氷のように冷えきった少女の手を俺はゆっくりと握ってから少女をその場でゆっくりと立たせる。

裸足の足は泥だらけだが小さな擦り傷以外は特に怪我は見当たらない。ゆっくりだが少女が表情も変えずに立ち上がった事から骨などにも異常がないのを確認した。

そのまま、とにかくゆっくりと少女を俺の車の助手席側へと移動させ、助手席に座らせてから俺は息を吐き、運転席へと戻った。

車内の暖房を少し上げ、車に乗せた少女をもう一度俺が確認すると少女は怯えたように自分を抱きしめて助手席うずくまっている。。

『何があったか話せるか?それとも今すぐに家に帰りたいか?』

そう聞いた俺に少女が初めて

『家…?』

と微かに、完全に潰れた声で呟いた。少女にコンビニで買ってあったミネラルウォーターのボトルを渡す。

『飲めよ。』

だが少女はまるでミネラルウォーターのボトルを初めて見たような顔でボトルだけを眺めているだけだ。

ボトルの蓋を開けて

『飲むだけだ。わかるよな?』

と飲むフリを少女に見せてみる。少女がもし異国で育った子なら俺の言葉があまり通じていないのかと思った。

少女は俺の身振りを理解したように、少しだけボトルに口を付けミネラルウォーターを飲み始めた。

もう一度ゆっくりと

『何があった?家はわかるか?』

と少女に聞いた。

今のところ、テロ発生の連絡は受けていない。だが、俺が知る限りでは少女の姿がそういう事件の被害者によく似て見える。

怯えて自分の置かれた状況が把握出来ずに泣くだけの被害者を俺は現場で何人か見た事がある。

そういう場合、とにかく落ち着かせてもう安全だと理解させるまではまともな会話なんか成り立たない。そんな事を考えながら少女に接する俺に少女が

『家…?』

と今度は少しマシな声で聞いて来た。俺は少女に

『そう、お前の家…。帰りたいだろ?』

と聞いてみる。そして少女は再び怯えた顔をしてから俺に

『わ…か…らない…。』

と呟いた。

事故や事件のショックによる一時的な混乱か?

出来るだけ冷静に考える。

『家がわからないか?』

と聞いてみる。少女はやはり怯えた顔で

『わからない…。』

と言い大きな蒼い目には再び涙を溜め始めた。
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