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堕天使 1st gig.
第1章 記憶
ただ、この子がこれ以上泣く姿を見たくないとか思った。いつもの俺なら、この場に誰かを呼んで、そいつにこの子を引き渡して後は俺には関係がないといつも通りに家に帰るだけの俺のはずだった。

だけどもう一度、少女の蒼い目から大粒の涙が零れ落ちた瞬間、俺は

『泣かなくて大丈夫だからな。病院に行こう。』

と少女の頭を少し撫でてみた。柔らかい銀色の髪が俺の手にふわふわと一瞬だけ絡みつき、スルリと指先から抜けると少女の背に広がるように流れた。少女は少しだけ落ち着いた顔を再び取り戻し、俺の手に身を委ねるように身体の力を抜く。

少女が落ち着く為に俺は状況から判断して、まず、軍人病院に少女を連れて行き、そこに所轄を呼び出す事を考える。

所轄とは警察だ。後は所轄に少女を任せれば俺はいつもの生活に戻れるはずだ。そう思いながらいつもと勝手が違う状況に少し戸惑ったまま車を発進させた。

俺の家の前を通り過ぎ、再び俺の仕事場である軍の基地へと車を向ける。基地の隣に立つ軍人病院は一般市民も通常診察時間は使えるが、深夜などの救急は軍人か軍人の家族など軍の関係者しか利用出来ない。

病院の救急口の前に俺が車を停めると当然のように病院の入り口に居た警備兵が

『IDをお願いします。』

と俺が少女にしたように、腰の銃に手を当てながら言って来る。今は軍の戦闘服を着ている俺にすらそういう態度が当たり前の時代だ。

軍人の救急搬送なら先に無線連絡があるのが通常だから、連絡も無しに私用車で乗り付けた俺は警備兵からすれば警戒が必要な対象になる。

俺は普通に警備兵にIDを出しながら

『何らかの事故か事件に巻き込まれたと思われる少女を保護した。所轄への連絡と医者を手配してくれ。』

と警備兵に命令する。病院での夜間警備兵の階級はせいぜい一番高くても少尉クラスだから、俺の階級をIDで確認するなり警備兵は俺に慌てて敬礼をして

『直ちに手配致します。』

と俺の命令に従う為に病院の救急口へと駆け込んで行った。
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