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堕天使 1st gig.
第6章 山内

ハヤトが無線で
『もう少し、こっちに向かせて貰えますか?』
と俺達に言って来る。今は女子高生の視線が雄太に向いているから雄太はハヤトの為に少しホームの線路側へと移動した。
女子高生まで後5mという距離だった。雄太は女子高生をこちらに向かせようと
『今ならまだ間に合うよ。その手のひらを広げてその危ないリモコンを離せば助けてあげるから、明日からまた普通に学校にも行けるって…。』
と言った瞬間だった。女子高生の怯えた目が突然、見開かれ、全ての憎悪を集めたような目線を雄太に向けていた。まるで雄太を憎むような女子高生の表情に俺は背筋に悪寒が走っていた。
『退避!』
咄嗟に俺は叫んでいた。宗司が冷静に俺の言葉に反応し、対爆盾を投げ捨て線路へ飛び降りた。俺は女子高生の唇の端が笑うように上がったのを見ながら宗司と同じように線路に飛び降りた。
最後に俺が見たのは対爆盾を投げ捨てて雄太を線路に突き飛ばす山内の姿だった。雄太が俺の隣に転がり込み、俺は雄太の上に覆うように被さった瞬間、凄まじい爆発音が俺の耳を突き抜けた。
爆風が顔に当たる感覚を感じ、俺の耳はキーンと耳鳴りをしていた。爆風が去った瞬間、状況に唯一、冷静に対応して耳を塞いでいた宗司がホームに駆け上がる姿が見えていた。
狂った三半規管のせいか、全てが俺はスローモーションのように見えていた。俺は頭を軽く振り、宗司の後を追っていた。
ホームの床は端から円を描くように赤黒いものが放射線状に広がっていた。生臭い血の匂いと肉が焼けた匂い、そして火薬の匂いに吐き気を催しながら俺は女子高生が自爆した事実を感じていた。
ぼんやりする頭の中で、山内はどうなった?とだけ考える。俺が最後に山内を確認した場所に宗司が座り込みながら無線に何かを叫んでいる。
『医療班!』
まだ耳鳴りがするが薄らと宗司の声が俺に聞こえていた。宗司が怪我をしたのか?そう思いながら宗司に近付いた俺は額から血を流し、ボロ雑巾のように横たわる山内の姿を宗司の足元に確認した。
そこからは俺はあまり覚えていない。山内が担架で運ばれ、気付けば俺は本部に戻っていた。
雄太が項垂れ、小雪がずっと雄太の背中をさする姿だけは覚えている。
『もう少し、こっちに向かせて貰えますか?』
と俺達に言って来る。今は女子高生の視線が雄太に向いているから雄太はハヤトの為に少しホームの線路側へと移動した。
女子高生まで後5mという距離だった。雄太は女子高生をこちらに向かせようと
『今ならまだ間に合うよ。その手のひらを広げてその危ないリモコンを離せば助けてあげるから、明日からまた普通に学校にも行けるって…。』
と言った瞬間だった。女子高生の怯えた目が突然、見開かれ、全ての憎悪を集めたような目線を雄太に向けていた。まるで雄太を憎むような女子高生の表情に俺は背筋に悪寒が走っていた。
『退避!』
咄嗟に俺は叫んでいた。宗司が冷静に俺の言葉に反応し、対爆盾を投げ捨て線路へ飛び降りた。俺は女子高生の唇の端が笑うように上がったのを見ながら宗司と同じように線路に飛び降りた。
最後に俺が見たのは対爆盾を投げ捨てて雄太を線路に突き飛ばす山内の姿だった。雄太が俺の隣に転がり込み、俺は雄太の上に覆うように被さった瞬間、凄まじい爆発音が俺の耳を突き抜けた。
爆風が顔に当たる感覚を感じ、俺の耳はキーンと耳鳴りをしていた。爆風が去った瞬間、状況に唯一、冷静に対応して耳を塞いでいた宗司がホームに駆け上がる姿が見えていた。
狂った三半規管のせいか、全てが俺はスローモーションのように見えていた。俺は頭を軽く振り、宗司の後を追っていた。
ホームの床は端から円を描くように赤黒いものが放射線状に広がっていた。生臭い血の匂いと肉が焼けた匂い、そして火薬の匂いに吐き気を催しながら俺は女子高生が自爆した事実を感じていた。
ぼんやりする頭の中で、山内はどうなった?とだけ考える。俺が最後に山内を確認した場所に宗司が座り込みながら無線に何かを叫んでいる。
『医療班!』
まだ耳鳴りがするが薄らと宗司の声が俺に聞こえていた。宗司が怪我をしたのか?そう思いながら宗司に近付いた俺は額から血を流し、ボロ雑巾のように横たわる山内の姿を宗司の足元に確認した。
そこからは俺はあまり覚えていない。山内が担架で運ばれ、気付けば俺は本部に戻っていた。
雄太が項垂れ、小雪がずっと雄太の背中をさする姿だけは覚えている。

