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堕天使 1st gig.
第1章 記憶
身長、体重、血液検査までを少女は無事に終えたが尿検査は看護婦がいくら説明しても少女が理解をしようとしない。

レイプ検査はさすがに俺は付き添わず、少女は怯えて泣き続ける状況での検査になってしまった。そのままレントゲンだの、MRIだのと検査を受け、脳のCTに脳波検査までをなんとか少女に受けさせた。

看護婦いわく、最近の医療じゃ脳医学の発達で記憶障害でも軽いものなら治療可能だという事だ。

なんだかんだと2時間以上の検査が続き、検査の合間に医者の診察も行われ、全ての検査が終わると少女は個室の病室へと移されて、ひとまず入院扱いになった。

少女をベッドに入れてから、ベッドの脇にある付き添い用の椅子に座り、ため息をついた。

後、2時間もすれば夜が明ける。なんで俺はこんな事になったんだ?

別に徹夜は慣れている。戦地じゃ夜の行軍なんぞ当たり前の任務だ。しかし、今は任務中じゃない。

ベッドに横たわる少女は疲れていたのか、俺の手を握ったまま、目を閉じて静かに眠っていた。

今なら少女を置いて立ち去ればいつもの自分の日常に戻れる。自分の家に帰ってしまえば2度とこの子とは会う事はない。

少女の寝顔を眺めながら、そんな事を考えていた俺を少女を診察した医者が呼びに来た。医者に連れられて、小さな会議室へと移動をした。

そこで俺を待っていたのは俺が呼び出していた所轄だ。やって来た所轄は2人組の制服警官で1人はノートパソコンを開き、もう1人が俺に向かって

『貴方が発見者ですか?』

と聞いて来た。俺は少女を保護した経緯を所轄へと説明をする。所轄が俺の話しの記録を取り終わると同席していた医者が

『まず、保護された女性ですが、銀髪、碧眼、身長155cm、体重38kgとやや栄養不足気味で脱水症状の兆候が見られますが、それ以外は目立つ外傷などは無くむしろ健康であると言えます。』

と少女について診断結果を話し始めた。そこから何故か医者は少し困ったような顔に変わり

『問題の記憶障害についてですが、確かに彼女の脳内では現在記憶喪失と言えると思います。』

と説明を続けると所轄の1人が

『何か不審な点でも?』

と医者を問い詰めるような質問をした。
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