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隷吏たちのるつぼ
第5章  第四章 口開く陥穽
 激しく扱く肉幹を顔前まで近づけてくる。振り払おうとしたがちょうど、ヒップに密封された便器の中で不様な破裂音が反響した。

「うあっ、……もぉ……だめぇっ」

 急いでそばの洗浄ボタンを押し、渦音を立て始めた便器へ向かって結びを弛めた。だが水音は、粘度の薄まった二度目の溶液が水面を叩く音も、ヒップから空気が奮発する音も、完全には消してくれなかった。

 再び、脱力感と安堵感が妖しく交錯し、悠香梨を労う。

「……! やっ」

 唸り声に気づくと、ヒタッ、ヒタッと額に熱い粘液がかかった。まだ体から穢汁が流れ出る只中、鈴口の小さな縦割れから白毒が自分に向かって撒かれていた。澱流が鼻筋をドロドロと沿い落ち、分離したしぶきがワンピースの胸元や、閉じたももの上にまで散ってくる。

「う……、いやあ……」

 顔肌を垂れ落ちる不浄を指で拭っていると、

「ふう……、……なんだよ、キスがイヤだってっから、顔射でカンベンしてやってんだ。おらっ、全部タレたか? いくぞっ」

 満足な時間を与えずウォシュレットを浴びせ、トイレから連れ出してくる。二度目の排泄と顔への汚辱で立てずにいても、強引に首輪が引かれて四つん這いで廊下を進まされた。

(うう……秀之……)

 前を見上げると、剛毛が生いた汚らしい尻が見えた。恋人には及びもつかぬ、こんな醜悪な男に、好き勝手に姦され続けている……。あまりの傷心で視線を逸らすように俯くと、拭いそこなった粘液の白い玉が鼻先からプラプラと揺れた。恋人がキレイだと讃え、他人には恥ずかしいほどノロけてくれるこの顔を、恣慾の毒汁で穢してもなお、この男は自分を解放してくれない──

 いざなわれた部屋には巨大なベッドが鎮座していた。

「立てよっ、クソ女」

 半身を上げたところで突き飛ばされた。広々としたマットのスプリングが軟らかく体を受け止めたのに、悠香梨は倒れた姿勢のまま身動きができなかった。

 粗雑な手づかいでうつ伏せにされ、両腕を後ろで組まされる。ビィッ……、聴いたことのある音に横顔だけで振り返り、

「し、縛らないで……」

 愁訴しても、交叉させた手首から肘までテープが何重にも巻かれていった。

「なんだよ、縛られるのが好きなクセによぉ。それともなにか? 今日はベッドの上でラブラブエッチがしたいのか?」
「……そ、そんなわけ……、……う」
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