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隷吏たちのるつぼ
第6章  第五章 誨淫の舎
第五章 誨淫の舎





 週末だけでなく、平日業務後も、智咲は太一と会っていた。

 征四郎が来訪したり、呼び出しがあったりしたのならば、もちろん太一の誘いには応じなかった。だが征四郎は、智咲の家に泊まり、「今日で完全にあの女を肉便器にしてやるぜ」と舌なめずりして帰っていったきり、ずっと連絡をしてこなかった。

 きっと悠香梨と会っているのだ。会って、陵辱の限りを尽くしているのだ。同期どうしで作っているグループチャットでは、悠香梨は何ら変わった様子を見せていない。だがきっと──スマホを覗くたびに虫酸がこみ上げる。

 もっと「つよく」。姦辱されたい気持ちをそう表現するのだが、太一はつねに紳士的に、大切に智咲を扱った。だから智咲は、灯りを落とした部屋の中で、彼が愛しみを込めて繋がってきている間も、今ごろ悠香梨と征四郎も同じことをしているのだろうか、同じことをしていても、同じようにはしていないに違いない、自分と同じような、いやもっと残忍な仕置きを授けてもらっているのだろうか、そんな夢想ばかりしていた。

 ヒップに刻まれていた打擲の痕が消えた頃、限界を迎えた。

 付き合ってることを全員に教える必要はないが、仲良くしている悠香梨には知っておいてもらったほうが何かと都合が良いのではないか。
 そう伝えると太一は同意をしてくれた。

 なら、悠香梨も彼氏がいるのだから、紹介し合いたい。
 もう一押しすると、カップルどうしで飯でも食おう、とセッティングをしてくれた。

 久々に会った悠香梨はやはり、何事も変わっていないように見えた。途中、秀之が二人の前で思わず「ユカリン」と呼んでしまって、太一が囃し立てたものだから、悠香梨は真っ赤になって、

「ちょ、絶対、役所で広めないでよね!」

 と釘を刺し、秀之に対しては、どこかしら愛しみが感じられる睥睨を向けた。

 智咲も表向きは笑っていたが、腑わたは煮えくり返っていた。

 初めて会った秀之は、悠香梨から聞いていたとおりに、頼りない男に見える。いかにも恋人の不義に気づかなそうだ。
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