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隷吏たちのるつぼ
第6章 第五章 誨淫の舎
自分の場合は、太一と付き合って以降は征四郎に姦されていないのだから、何ら疚しいことはない。ただ放置されているだけであるが、何かあれば、いつでも太一を捨てることができる。悠香梨は、征四郎とイヤラしいことをたっぷりしているだろうに、いけしゃあしゃあと恋人と結婚の約束を果たそうとしているのだ。
どちらが正当に征四郎に相応しいかは明らかなのに、なぜ自分の元は訪れてくれないのか。
征四郎を独占している悠香梨も、何も知らない秀之も笑っていた。彼氏面で話している太一も笑っていた。三人とも幸せそうに見えた。
自分だけが、笑えていない。
悠香梨の顔など見なければよかったと後悔した。
翌日、閑散としたやまのくらし会館で、隣に黙って座るみどりのせいで更に沈鬱を深めていると、
「よう、智咲!」
傍若で下品な声で名を呼ばれた。
「あ……」
待ちわびた姿がカウンターへ向かってくる。恨み言が吹き飛び、胸の中がジーンと締まって涙が出そうになった。
「久しぶりだな、おい」
征四郎は片肘をカウンターについて馴れ馴れしく話しかけてくる。「ほい、土産」
手を出せ、という合図に応じたら、オーデコロンの小瓶が置かれた。
「おみやげ……?」
「ドイツに出張行ってたんだ」
「え──」
言葉を発せずにいると、征四郎は隣のみどりにも小さな包み紙を渡した。
「お前にはバームクーヘン。ガキに食わせとけ」
「ずっと、日本にいなかったんですか?」
相変わらずの黙礼のみで受け取るみどりに構わず、頭の中が混乱するあまり、今まで智咲の方から会話を求めるようなことはしなかったのに、思わず問いかけてしまった。
「ああ。重機買い付けて、今日帰ってきたところだ。……つっても、俺は何もしてねえけどな。FKKにずっといただけだぜ」
「エ、エフ……?」
意味がわからずキョトンとすると、征四郎は急に眼光をギラつかせた。
「何だよ、寂しかったのか、お嬢様ぁ? ククッ……」
(んあっ……)
図星だった。陰湿な含み笑いが耳をくすぐっただけで、スカートの奥が熱くムズムズと疼いた。
どちらが正当に征四郎に相応しいかは明らかなのに、なぜ自分の元は訪れてくれないのか。
征四郎を独占している悠香梨も、何も知らない秀之も笑っていた。彼氏面で話している太一も笑っていた。三人とも幸せそうに見えた。
自分だけが、笑えていない。
悠香梨の顔など見なければよかったと後悔した。
翌日、閑散としたやまのくらし会館で、隣に黙って座るみどりのせいで更に沈鬱を深めていると、
「よう、智咲!」
傍若で下品な声で名を呼ばれた。
「あ……」
待ちわびた姿がカウンターへ向かってくる。恨み言が吹き飛び、胸の中がジーンと締まって涙が出そうになった。
「久しぶりだな、おい」
征四郎は片肘をカウンターについて馴れ馴れしく話しかけてくる。「ほい、土産」
手を出せ、という合図に応じたら、オーデコロンの小瓶が置かれた。
「おみやげ……?」
「ドイツに出張行ってたんだ」
「え──」
言葉を発せずにいると、征四郎は隣のみどりにも小さな包み紙を渡した。
「お前にはバームクーヘン。ガキに食わせとけ」
「ずっと、日本にいなかったんですか?」
相変わらずの黙礼のみで受け取るみどりに構わず、頭の中が混乱するあまり、今まで智咲の方から会話を求めるようなことはしなかったのに、思わず問いかけてしまった。
「ああ。重機買い付けて、今日帰ってきたところだ。……つっても、俺は何もしてねえけどな。FKKにずっといただけだぜ」
「エ、エフ……?」
意味がわからずキョトンとすると、征四郎は急に眼光をギラつかせた。
「何だよ、寂しかったのか、お嬢様ぁ? ククッ……」
(んあっ……)
図星だった。陰湿な含み笑いが耳をくすぐっただけで、スカートの奥が熱くムズムズと疼いた。