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隷吏たちのるつぼ
第6章  第五章 誨淫の舎
 卑猥な言葉を口にした動悸に震えつつ、智咲の方からしゃぶりついていった。ヒゲ面から舌が差し出されると、淡色のリップで飾った清純な唇でこれをはみ、喉を鳴らして流し込まれる涎を飲む。懐かしい口臭に嗅覚も味覚も痺れ、丸出しにした秘丘をズボンの先端へ擦り付けると、奥が引き攣って早速蜜が滲んだ。

 しばらく荒い息と、水音と、獣のような唸りが館内に響いた。
 下唇に糸を繋いで押し剥がされる。淫奔なニヤケ顔をした征四郎が、提げていたバッグから取り出した物が首輪だとわかると、智咲は巻きつけやすいよう、率先して顎を上げた。

「今日はちょっと遠くまでお散歩に行くぞ」
「と、とおく……」
「ああ。サボっても、どうせ客なんて来ねえんだろ? みどり一人いりゃ大丈夫だ。イジメて欲しいんだろ?」

 リードコントロールよろしく、チェーンがピンと引かれる。智咲は素直にパンプスを鳴らして足を踏み出した。

 ブースを出る際に、そういえば辛気臭い置物は言葉も喋れるんだったと思い出し、

「あとよろしくね」

 と、視線だけを振り返らせて言った。

 丁寧語も使わずに言った智咲へ、みどりが珍しく感情をあらわに、フーと息を吐いた。

 うるさい。お前みたいなのにどれだけ僻まれようが、もう知ったことではない。





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