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隷吏たちのるつぼ
第6章  第五章 誨淫の舎
「おら、もっと開け」

 命じられると何も言わず、浅く腰掛け直してシートにもたれた。強い鼓動に息を乱されながら、大胆に脚を開いていく。

「おいおいおい、オマ×コがはみ出しそうになってんじゃねえか」

 エンジンがかかった。
 恥ずかしすぎて、自然と膝を内向けて角度を狭めようとしてしまう。たが、征四郎の命にそむくと何をされるかわかったものではない。

 ……本当に、制裁が怖いから、開脚し続けているのだろうか? 

「イジって音聞かせろ。濡らしてんだろ? スケスケパンティだからニオイでわかるぜ」

 己への猜疑で惑っていると、次なる命が下された。

 これだけ開けば、縁から溢れて光る汁が見えているだろうに。しかも、自分には感じられないが、狭い車内空間に牝のニオイが撒き散らされていると言う。ウソか本当かは知れないが、夢想するだけで猜疑は棚上げにされ、指をショーツの脇から差し入れてしまった。

「うんぁっ!」

 一度触れてしまったら止められなかった。割れ目から洩れ出た肉弁も、包皮を剥いた肉蕊も、三本の指で弾き回さなければ気が済まなくなった。

 そうだ、音を聞かせろと言われたのだった。

 悠香梨は指の角度を調整し、ピチャピチャという淫音を車内に立たせた。

「そのままオナってろよ」

 ようやく車が発進する。

(ああっ……、も、もうダメ……)

 鼻先に、征四郎が言う通りの淫薫が漂った気がした。指の動きを早め、腰を突き上げる。下腹が甘痛くなってきた。秀之の愛撫では到底無理だった、久しぶりの、穿孔からの噴水が起こりそうだ。走行する車の中で大股を開いて自慰に耽るなど、「市民の目があるところでは滅多なことをするな」と注意を促されてきた市職員として、あってはならないことだ。しかし、肉果から全身へ広がる淫楽に支配された悠香梨は、誰が何と言おうが、貪欲な指を止めることはできなかった。

 ただ一人を除き。

「イ──」
「やめろ、勝手にイクんじゃねえ」
「そんなっ!」

 恨めしく叫んだが、指を止めた。

 車は信号待ちで停車していた。そんな状況すら目に入らず、不乱にイジっていたのだ。
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