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隷吏たちのるつぼ
第6章  第五章 誨淫の舎
「は、はい……、ご、ごめんなさい」
「なんだ? 謝り方も知らねえのか、お嬢様は。そんなんだから騙されてオナクラで働く羽目になるんだ。なってねえんだよっ、おまえは」
「うう……、す、すみません、……え、いや、……申し訳ありません」
「泣きゃいいってもんじゃねえぞ。何様だと思ってんだ。もう、お前じゃなくて、もっと気の利いた、エッロいオトナの奴隷と遊んでたっていいんだぜ?」

 そう言われて悲鳴を上げた智咲は、泥に汚れるのも構わず足元までにじり寄った。

「い、いやっ! わ、私でしてくださいっ……!」

 いくつもの涙を頬に伝わせて懇願すると、見下ろす征四郎が、

「だったら、どうするんだ? ん?」

 と、髪を撫でてきた。手遣いは優しく、視線はイヤラしい。

「あ……、ああ……」

 理屈なく、目を逸らさずにスカートを捲ってヒップを丸出しにした。つま先と膝をついて背を反らし、手を二、三歩前に踏み込んで、ストッキングに包まれた可憐な丸みを真後ろへ向けた。

「お、お尻に……、ば、罰をください!」

 刻印は消えてしまった。
 こんな愚かな自分だから、罪人であることを忘れてしまうのだ。やまのくらし会館でしてくれたように、ベルトで何発でも打って目印をつけておいて欲しい。

「くくっ、ったく、とんだ変態お嬢様だなぁ、お前は」

 征四郎が背後へと回っていった。智咲はヒップを引き締め、懲罰を待った。

「えっ……」

 手を付いたすぐ傍の地面に、重たい衝撃があった。砂粒が舞って手の甲をチクチクと刺す。逆側にも、もう一度。

 あまりの破壊力に驚いて振り返ると、征四郎が手にしていたのはベルトではない、革編みの施された握り棒から、頑丈そうな縄紐が長く垂れる本格的な一本鞭だった。

 コロンや首輪が取り出されたバッグには他に何が入っているのだろう。轡もちゃんと持ってきてくれただろうか。そう他愛なく考えていたのに、こんな兇器が入っているとは思ってもみなかった。

「あ、わ……」
「どうした? ぶったたいて欲しいんだろ?」

 柄の長さを利用して振り下ろされると、智咲の側に転がっていた小枝がまっぷたつになった。

「えっ、……あ、こ、こんなの、こんなのっ、ム、ムリですっ」
「んだよ、自分から罰をくださいって言ったくせによおっ」
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