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隷吏たちのるつぼ
第6章  第五章 誨淫の舎



 悠香梨を絶頂の余韻から引き戻したのは便意だった。タイトスカートからフェルマータのかかった低音が鳴ると、大開脚していた下肢を慌てて畳み、固く縮こまった。直腸が暴れたが、複数詰め込まれた異物が暴発を防いでくれる。しかし同時に、充満している液汁を、蠢動する珠が激しく撹拌してきた。

「ううっ……」

 大波が引いていった。絶頂も腹痛も凪ぐと、辺りの様子が感じ取れてくる。

 外気の臭いがする。地面の小石がヒップに当たって痛い。もっとも、車から抛たれたのだから野外であることは間違いない。

「や……」

 いまさらになって、羞恥が悠香梨を襲った。
 何を従順に目隠しに応じ続けているのだろう。両手が自由なのだから、とっとと取り払えば、暗闇の不安から解放される。

 しかし、悠香梨の手は動かなかった。外していいかと征四郎へ伺うこともなかった。いくばくか平静を取り戻したにもかかわらず、漆黒は次なる得体の知れない悦楽を予感させ、火照りきった体では誘惑に抗いがたかった。

「ド派手にイッたじゃねえかよ、この肉便器が」

 脳天を掴まれて短い悲鳴を上げる。労りなく引きずられそうになって、悠香梨は力の向き先に合わせて四つん這いになった。真下に伸ばした両手を背後から掴まれる。脱力して前に倒れてしまうと、顔面を地に付いてしまうから、腹筋に力を入れて耐えた。

「ああうっ……」

 そうすると括約筋が弛みそうになる。

 ビイーッという音。恐ろしい、かつ懐かしい音。体内の珠の一つが窄口をくぐりそうになって、慌てて臀肉を閉じている隙に、ビニールテープが両手に括りつけられていった。

「ま、また縛るの……?」
「トボケんじゃねえよ。ゴミクズみたいにされるのが大好きなクセに。……来い」

 髪を引かれる。後ろ手のまま慎重に立ち上がろうとした矢先、またもや珠が押し出されてきた。

「ああ……、も、もう限界……です。ト、トイレ……、トイレに行かせてっ」

 前回から薬量が三倍なら、寝かされている時間も三倍に感じられた。決壊寸前の腸壁の動きが、瑞流に洗われる時の後ろめたい愉楽を鮮明に甦らせてくる。
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