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隷吏たちのるつぼ
第2章  第一章 醒めゆく悪夢
 仕方なく、智咲は小さく頷いた。

「うふふっ、そおなんだぁ」

 シーツが擦れて、マットのスプリングが沈む。俯いた智咲の視界に、床へ投げられたスラックスが飛び込んできた。

「じゃ、男の人のオチ×チン、見たことないかな?」
「……」
「ほぉらっ、こっち。こっち向いてごらん」

 男の声は完全に茹だっている。
 見るまでもない。既に鼻先には嗅いだことのない酸えたニオイが漂ってきていた。

「チ、サ、ト、ちゃんっ。ちゃーんと接客しないと、お店に怒られちゃうよぉ?」

 さっき電話口で怒鳴られた恐懼が甦り、おずおずと、顔を男の方へ向けた。

(……! もう、やだ……)

 男は後手をつき、大股開きをしていた。下半身は何も身につけておらず、汚らしい肌身を智咲へ向かって差し出している。太ももから生い茂る毛は下腹の叢と繋がっており、その中心では黒ずんだ肉竿がワイシャツの裾を捲り上げていた。

 涙粒が落ちた。眉尻を下げた智咲を見た男が呻き声を上げると、怒張が浮き立つ幹が震え、傘を膨らませた先端から透明の粘液が垂れた。

「ほらぁ……、ど、どお? お、俺のオチ×チン。ああ、スゴい興奮するよぉ。バ、バージンの、お、お嬢様に、ふふ……、ふふ」
 シーツに付いた尻を蠢かせ、智咲の顔が歪むたびに先端から汁を漏らしている。「ううっ、チ、チサトちゃんっ。どお? しょ、正直に言っていいからっ」
「……う、……っ、……き、きたな……、い……」

 誘われるまま本音を漏らすと、何故か男はフシューと昂揚した荒い鼻息を吹き出して肉幹を握りしめた。
 クチュ、クチュと音を立てて扱き始める。

「やっ……」
「あっ、ダメだよっ!」
 顔を背けようとすると、「はあっ……、ほら、し、してるところ、しっかり見ないとっ。オ、オナクラなんだからっ」

 また涙が溢れてくる。いい大人が自慰をしている姿は情けないし、汚らしい。情けなく、汚らしいほど、それを見続けなければならない自分が惨めになる。

「チサトちゃんに見られて、こんなにエ、エッチになってるよぉ。……お、おっきくて、びっくりしたかなぁ? でもさ、こ、こぉんな大きくなったのが、チサトちゃんのアソコに入っちゃう日が、いつか来るんだからね」
「いやぁ……」
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