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隷吏たちのるつぼ
第2章  第一章 醒めゆく悪夢
 征四郎の兄と同級生の芳賀は、篭山家には頭が上がらなかった。高卒採用の芳賀が課長にまで昇進できたのは、篭山の力があってこそだった。その代わり、幾多の公共事業の情報をリークしたり、決裁者とも引き合わせてきた。追及されれば芳賀もただでは済まない。だが、不景気になるや急にモテて、遅いながらも結婚できた芳賀には子供が二人いた。上の子は今年大学受験、下の子は中学生。まだまだ金が要る。

 女に相手にされない憐れな見てくれ、篭山の名を出さなければ人付き合いができない、家族にさえ疎んじられる性格。そんなどうしようもない征四郎だったが、中高と征四郎の兄のグループにパシリに使われ、入庁してからは大卒採用の連中に虐げられてきた芳賀は、このできそこないの御曹司に奇妙な同類感を感じていた。征四郎のほうも自分に対してだけは空威張りではない、甘えた感じで接してくるから、実の兄以上の好意を持ってくれていると思っている。

「おっ、あったあった」
 征四郎が「新年度採用職員」と名されたファイルを見つけた。一覧に並ぶ名前を眺め、「結構入ったじゃん。なんだよ、男ばっかだな。つまんねぇ」

 今年は海外に行っていたから遅れてしまったが、年度替わりを迎えると、征四郎は決まって芳賀の元に新人職員の名簿を見にきていた。女子職員の見目好い子をピックアップして声をかけるためだ。どうせ、自社の新入社員にも同じことをしているのだろう。

 性別欄が男となっているリンクには目もくれず、一人ずつ経歴を開き、バストアップ画像を見ては首を傾げたり、舌打ちしたりしている。

「どの子が可愛いの?」

(風俗の指名写真と勘違いしているんじゃないだろうか)

 芳賀は苦笑いをして、

「まあ、若い連中は今年は二人いるって話してましたね」

 と言った。

 若手職員たちによれば、二人は今年度採用の中で一番どころか、ここ数年来の逸材だそうだ。下衆な上に危険な発言だから、笑いながらも窘めたが、確かに、彼らが色めき立った新人職員は、かなり恵まれた容姿をしていると思った。

「どの子?」
「ええと……、一人は、日下って子ですね」

 芳賀が指さしたリンクが開かれる。
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