この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
隷吏たちのるつぼ
第2章  第一章 醒めゆく悪夢
 正直、こういった事業は特定業者に対して──その殆どが篭山開発の関連会社であることは、県外出身者の智咲でも一ヶ月のあいだにわかっていた──便宜を図り、優遇した入札を行い、モノさえできれば市も業者も「後は知ったことか」というものだと思っていた。

 しかしこうやって議論をし、県に対して言うべきことは言おうとする姿勢を知って、智咲はワーキンググループにやりがいを期待した。
 意見を求められ、自信はなかったが思うところを述べると、否定されることなく、その観点で深耕しようとしてくれる。メンバーの一人として、意見を尊重されるのが嬉しく、あっという間の二時間が過ぎていった。

「──では次回は、今日一番懸念点が出た、農業への悪影響に焦点を当てて話し合いましょう。環境保全課の人間を呼んだほうがいいかもしれませんから、手配しておきます」
 芳賀はそうまとめると、「では本日はここまでということで。……えっと、十九時に『すがい』を私の名前で取ってますから、お時間になったら、現地にお越しいただければと思います。それでは」

 散会が告げられると、参加者が席を立ち始めた。

 智咲が率先してプロジェクターの片付けをしていると、芳賀が声をかけてくる。

「本山さん。悪いんだけど、今日の議事録、作っといてくれるかな?」
「はい、わかりました」
「悪いね。時間が空いたときでいいから」
「時間、いっぱい空いてますから」
「おいおい」

 上機嫌のあまり、思わず言ってしまって、笑顔でごまかした。

 ケースに収まるように電源コードを両手で巻き取ろうとするも、後片付けなどあまりしてこなかった智咲は、なかなか上手くできなかった。その様子を微笑ましく見ていた芳賀は智咲からコードを引き取り、

「それから、今日の懇親会、来れるかな? すまない、言っておくのをすっかり忘れていた」
「ええ、大丈夫です」
「そうかい? 助かるよ」
 芳賀は声を密め、「何せオジサン……、オジイサンもいるな、そんなのばっかりだからね。本山さんみたいな子がいると場が華やいで助かるんだ」

 セクハラ紛いの発言だったが、優しい上司が助かると言うのであれば、と智咲は快く承諾した。





/188ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ