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第3章 　第二章　遅れた服罪

「う……」
「しゃぶれっ」

　唇を突ついていた丸みが、だんだんと圧を増して押し付けらる。智咲は唇を亀頭に密し、顎を緩めると、肉幹の胴回りを搾るように口内へと含んでいった。

「おおっ、そうだっ、チ、チ×ポの中に残ってるの、全部吸い出せっ……」

　ブルッと腰を震わせた征四郎が、前へ突き出す動きを見せた。あのレストルームでの、窒息しかかった口交が思い出され、自分から動かなければ苦しみを味わうことになると危ぶんだ智咲は、従順に頬を凹ませた。

「いいぞお、智咲。そのままもっと頭を揺すれ」
　征四郎は後頭部を支え、「中で舌も動かしてレロレロしろ。歯を立てるなよお」

（うう……、な、なんで……、わたし……）

　歯という武器がある場所へ無用心に急所が差し入れられているのに、むしろ傷つけてしまわないようにしゃぶり続けていた。亀頭の凹凸に舌腹を撫でられ、頬裏に擦られる。導かれるままに頭を前後させ、その手が離されても智咲は動きをやめなかった。

（こんな、……きたないのに。……マズいのにっ……）

　酸味と苦味が混ざったような味は、征四郎の精液だけではない。自分が滲ませた淫らな蜜も、通姦の流血も含んでいるはずだ。なのに、咽せるほどの味覚が、脳髄を陶然と痺れさせてくる。

　息を乱した征四郎が、両腕の枷を解き、肉幹を咥えさせたまま肩を掴んで、身を起こさせてきた。

（く、来るっ）

　直感したとおり、「お掃除」に応じた甲斐なく、顔に向かって下腹を思い切りぶつけられた。

「ごっ……、おごぶっ……」

　レストルームの時と同じ深度まで貫かれた。喉奥が刺激されることで溢れてくる逆流が牡茎で撹拌され、ゴボゴボと濁った音が頭の中を伝わってくる。

（く、苦しいよお……。ああ……、で、でも……）

　でも？

　判然としないうちに、ジュボッと亀頭が引き抜かれた。あの時に比べると、はるかに短い時間だった。

　泡反吐の糸を切って顔を上げる。天井の蛍光灯を背負うように、征四郎が見下ろしていた。醜貌の手前で肉幹がユラユラと動いている。

「もうおしゃぶりは終わりか？」
「あっ、う……」