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隷吏たちのるつぼ
第3章  第二章 遅れた服罪
 すぐに突っ込むつもりだったが、あどけない後姿のくせに仄かに牝の匂いが漂ってきて、味見をしたい誘惑にかられた。膝をついてふるいつくと、キュッと締まる臀肉に鼻先を挟まれる。息苦しいのも気にせず、ビッタリと唇を押し付け、吸引すると口の中に入り込んでくるショーツごと、丸みへ舌先を這い回らせた。

 智咲は内股に伸ばした脚をブルブルと震わせて床を踏みしめている。両側から溢れてくる花蜜を音を立てて吸い上げると、かぶりを振って、声を必死に押し留めている。

 もう二人きりだ。声を殺す必要はない。
 それともまだ、この期に及んでまだ、自分になんぞ声を聞かせるのを惜しく思っているのか。

 カウパー汁がパンプスの間へ飛んだ。

 立ち上がり、太ももまでショーツを引き下げた時、壁に開けられた小さな覗き窓の向こうから人々の騒めきが聞こえた。さっき、日下という女が、講堂で市営住宅の説明会が行われるとか言っていた。

(貧乏人どもが、ご苦労なこった)

 集っている人々が、何か意に反することでも言われたのだろう、思い思いに話し始め、

「おいおい、いかにもお役所仕事ってやつじゃないか!」

 誰かがそう野次を飛ばすと、騒めきが大きくなっていった。

 背中へ密着し、亀頭を花唇へ擦りつけながら、智咲の肩越しに小窓のカーテンを少し開いた。住処なんてものに固執しなければならない輩を眼下に臨みながら姦したら、より興奮するだろうと思った。

「お静かに願います……、ご静粛にっ!!」
 マイクから放たれた声で、会場の声が小さくなった。「……えー、ご不安は承知しておりますが、これは市民の皆様がたに公平なサービスを提供するための、止むを得ない措置ですので、ご理解いただきたいと思います。詳細はお手元の冊子の十ページ目になりますが……」

 静まったチャンスを利して、ステージに投影されているスライドが次のページへ移り、説明が前へと進められる。

(おっ)

 声は、あの日下とかいう女のものに間違いなかった。ステージの端にマイクを片手にスラスラと説明を続けている影がある。

 背が高く、スラリとした肢体は、黒のパンツスーツでより映えていた。白いブラウスの尖った襟の前から胸元まで垂れる髪が、ライトポインターでスライドを指し示すたびにサラリと揺れている。
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