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隷吏たちのるつぼ
第4章  第三章 詭謀の酬い
 時計を見ると、離席してから時間が経っていた。これ以上、不在にはできなかった。

「──たしかにそうですね」
「おっ、デートしてくれるの?」

 悠香梨は溜息をつき、

「デートじゃありません。交渉だって、自分で言ったんじゃないんですか?」
「そうだった」
 征四郎は笑ったあと、「早く大事な彼を安心させてあげようね?」

 そう囁いてウインクした。とても気色が悪い。
 しかし、本当に可哀想なほど狼狽えている秀之を何とかしてやらなければならなかった。自分が苦しかった時に支えてくれ、見守ってくれた恋人を。彼のおかげでこうして市職員として働けているのだ。

「で、どうすればいいんですか?」

 連続して漏れる溜息とともに、悠香梨は言った。




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