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鬼ヶ瀬塚村
第22章 真理子
『優子はあんなんだから平気みたいね、達弘も長男だから色々一応は自覚してるのよ、あれでも』

『そうなんだ』

『優子とは13も年が違うし、一緒に暮らしてた期間も短かったわ。だからかな、私なんだかあの子が怖い時があるのよ』

『優子が怖い?』

『うん。あの子はね悪い子じゃないのよ?確かに大切な妹…だけど、何をしでかすかわからなくて何を考えてるのかわからなくて、怖いのよ』

真理子さんは空に向かって手を伸ばした。

『綺麗な月だねぇ、ノブ。…私はね、今優子の話を漫画に描いているのよ。あの子の本質は限りなく鬼よ。痛みがわからないんだもの。あの子は食欲の為にならなんだってするわ。人肉が好物なのよ』

『真理子さんだって…凄い…食い付きだったよ…』

『あら?そうだった?けどね、私、ゾッとしたわ…1年前かな?私、時々やっぱりここに帰ってきてたのよ。ノブには内緒でね』

『…うん』

『その時にね、優子の姿が見当たらないから外に探しに行ったのよ』

『…うん』

『そしたら、優子…ちご坂の下でずっと上を見上げてたわ。ひたすら奴奴が来ないかジッと待っていたのよ』

想像してゾクッとした。

『あの子の後ろ姿がまるで地獄の餓鬼に見えたわ。あの子は時々そうやって奴奴が死体を持ち込むのを待ってるのよ』
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