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鬼ヶ瀬塚村
第22章 真理子
『ホラーな村で生まれ育ってホラー漫画家になるなんてね…本当に皮肉ね。私、本当は純愛物描きたかったのよ?』

『えッ?そうなの?』

『うん、たまたまホラー描いたらウケちゃって。恋愛物描こうとしても浮かばないのよストーリーが』

『真理子さんでもそんな事あるんだね』

『当たり前じゃない。あんた私の漫画は絶対読まないけど…結構グダグダな時だってあるのよ?私、天才じゃないし』

『…そうなんだ』

『いい加減負けを認めて私の漫画読みなさいよ』

『酷い言い種だな』

真理子さんは歯を見せてニヤニヤ笑った。

僕は真理子さんの漫画をほとんど読まない。
保身に走ってるんだ。
自分がいかに惨めか思い知りたくなくて数年前からほとんど手をつけていない。

ホラー漫画の以前にそれ自身が僕にはホラーだったから。

『今のノブならホラー漫画家になれるよ』

真理子さんはただただニヤニヤ笑うのだった。

その晩、僕は久しぶりに一つの布団で真理子さんと眠った。
大学時代を思い出した。
いつも2人で小さな万年床に身を寄せ合っていた。

彼女が世界一安心する場所がそこだったのだと知らずに。

寝る前出されたおにぎりはあいにく食道をうまく通らなかった。
"単なるおにぎりよ"と真理子さんに笑われたけど…僕は空っぽの胃袋を鳴らしながら眠った。

鬼になって初めての睡眠に、睡眠薬はいらなかった。
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