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鬼ヶ瀬塚村
第23章 ガキ

そう言えば典子ちゃんはどこにいるんだろう?
荒岩家の人間だと聞いたものの、彼女は一向に姿を表さない。
1人で朝食を取っているのだろうか?
『達弘、和ちゃん抱っこさせてよ』
不意に真理子さんが言った。
真理子さんの言うことならすぐに聞くのに、達弘さんは知らん顔だ。
『ねぇってば、和ちゃん抱っこさせてよ』
もう一度真理子さんが言うと達弘さんは紗江さんに向けていたのと同じような鋭い目付きで真理子さんを睨み返した。
『駄目じゃ』
達弘さんはそれだけ言うと後はいくら真理子さんが頼んでも聞いてはくれなかった。
『いいもん、勝手に抱っこしに行く。ノブも行こう?私、和ちゃんに会うの実は初めてなんだ』
真理子さんが立ち上がり、居間のふすまを開けようとした瞬間、達弘さんが真理子さんの手首を掴んだ。
『痛いわね、何よ?』
家族一同が達弘さんを見ていた。勿論僕も。
カヤさんは目蓋を開けたが、すぐに閉じて寝た"フリ"をした。
『…駄目なんじゃ…ぞの…な…和幸、体調悪ぐしどっで…』
『そんな事、初めて聞いたぞ?』
途切れ途切れに言う達弘さんに宗二さんが驚いた様子で言う。
『…そっどしどいでやっでぐれ』
達弘さんはそれだけ言うと煙草をくわえたままフラりと立ち上がり、サンダルを履いて開け放たれた庭へと姿を消した。
荒岩家の人間だと聞いたものの、彼女は一向に姿を表さない。
1人で朝食を取っているのだろうか?
『達弘、和ちゃん抱っこさせてよ』
不意に真理子さんが言った。
真理子さんの言うことならすぐに聞くのに、達弘さんは知らん顔だ。
『ねぇってば、和ちゃん抱っこさせてよ』
もう一度真理子さんが言うと達弘さんは紗江さんに向けていたのと同じような鋭い目付きで真理子さんを睨み返した。
『駄目じゃ』
達弘さんはそれだけ言うと後はいくら真理子さんが頼んでも聞いてはくれなかった。
『いいもん、勝手に抱っこしに行く。ノブも行こう?私、和ちゃんに会うの実は初めてなんだ』
真理子さんが立ち上がり、居間のふすまを開けようとした瞬間、達弘さんが真理子さんの手首を掴んだ。
『痛いわね、何よ?』
家族一同が達弘さんを見ていた。勿論僕も。
カヤさんは目蓋を開けたが、すぐに閉じて寝た"フリ"をした。
『…駄目なんじゃ…ぞの…な…和幸、体調悪ぐしどっで…』
『そんな事、初めて聞いたぞ?』
途切れ途切れに言う達弘さんに宗二さんが驚いた様子で言う。
『…そっどしどいでやっでぐれ』
達弘さんはそれだけ言うと煙草をくわえたままフラりと立ち上がり、サンダルを履いて開け放たれた庭へと姿を消した。

