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鬼ヶ瀬塚村
第23章 ガキ

『一郎さん…あの…』
彼の隣に並んで彼が洗う皿を拭いて行く。
『なんだっぺ?』
長い髪を下ろしたままで、一郎さんの顔は見えなかったが相変わらず飄々とした調子だ。
『ジャケットコート…すみませんでした』
結局、泥まみれの汚物まみれにしてしまった彼のジャケットコートは真理子さんによってあっさり捨てられてしまったのだ。
『ああ゙?構わないっぺよ。あれ、猪臭かったば?』
『少しだけ』
『ははッ…去年はよぉけ猪が狩れたんでずわ。逃げ足が早ぐてね、瓜坊もとッ捕まえましだば』
『猪沢山いるんですね』
『まあ~…年によっではバラバラだっぺな。捕まえれだらご馳走するっぺよ』
一郎さんは手際よく皿を洗いながら言う。
真理子さん曰く"いっちゃんも良い主夫になる"だそうだ。
『真理子さんに狩りを覚えろと言われました』
『あ~…まあ、仕方ないっぺ?男手は必要だがんね。作物よう荒らすんでずわ。芋が好物らじぐでねぇ…僕も芋が好ぎでずがら、いやぁ困り果ててるんでずわ』
ようやく一郎さんが僕を見た。爽やかで穏やかな目が眼鏡の奥から僕を見つめている。
『なんなら僕が教えよが?教えるんば仕事で慣れどるじな』
『お願いできますか?』
『勿論だっぺッ!』
彼の隣に並んで彼が洗う皿を拭いて行く。
『なんだっぺ?』
長い髪を下ろしたままで、一郎さんの顔は見えなかったが相変わらず飄々とした調子だ。
『ジャケットコート…すみませんでした』
結局、泥まみれの汚物まみれにしてしまった彼のジャケットコートは真理子さんによってあっさり捨てられてしまったのだ。
『ああ゙?構わないっぺよ。あれ、猪臭かったば?』
『少しだけ』
『ははッ…去年はよぉけ猪が狩れたんでずわ。逃げ足が早ぐてね、瓜坊もとッ捕まえましだば』
『猪沢山いるんですね』
『まあ~…年によっではバラバラだっぺな。捕まえれだらご馳走するっぺよ』
一郎さんは手際よく皿を洗いながら言う。
真理子さん曰く"いっちゃんも良い主夫になる"だそうだ。
『真理子さんに狩りを覚えろと言われました』
『あ~…まあ、仕方ないっぺ?男手は必要だがんね。作物よう荒らすんでずわ。芋が好物らじぐでねぇ…僕も芋が好ぎでずがら、いやぁ困り果ててるんでずわ』
ようやく一郎さんが僕を見た。爽やかで穏やかな目が眼鏡の奥から僕を見つめている。
『なんなら僕が教えよが?教えるんば仕事で慣れどるじな』
『お願いできますか?』
『勿論だっぺッ!』

