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鬼ヶ瀬塚村
第23章 ガキ

『ごの辺りにば出んがら大丈夫だっぺ。出だどじでもこやっちゃら二匹の匂いで逃げだしまずわ。じょこっ子1人で歩いでもごの辺りは安全だっぺよぉ』
一郎さんは立ち上がり、ロッジ脇の小さな倉庫をガラガラっと開いた。
ビビ介とキキ子がピクッと反応する。
一郎さんは中から干し肉を出した。
大人の男の腕程あるそれを地面に置くとビビ介とキキ子は面白いくらいに歯の隙間からヨダレを垂らしはじめた。
『えがッ!』
一郎さんが言った次の瞬間に二匹はそれにかぶりついた。
取り合いにもならず仲良く食べている。
『めんごいだろぉ?キジの干じ肉が好物なんだっぺよぉ』
『凄い食いつきですね』
僕は二匹が仲良く干し肉を食べてる姿に真理子さんが見えた気がした。
真理子さんがサーロインステーキを食べている時にそっくりだ。
『んじゃあ、先行ぎまじょが』
『まだ先にも何かあるんですか?』
『あるっぺよぉ、愚ノ猪の狩り場ってぇだだっぴれぇ平地があるんだば』
『愚ノ猪?』
『ああ、神聖な狩り場なもんで清めを受げたマタギしか狩れねぇっぺよ』
『一郎さんも狩るんですか?』
一郎さんは二匹に別れをすると、少し困った顔を僕に向けながら歩きだした。僕はそれについて行く。
不意に一郎さんが言った。
『僕ば村一番のマタギなんだべ…』
彼は寂しそうに言った。
一郎さんは立ち上がり、ロッジ脇の小さな倉庫をガラガラっと開いた。
ビビ介とキキ子がピクッと反応する。
一郎さんは中から干し肉を出した。
大人の男の腕程あるそれを地面に置くとビビ介とキキ子は面白いくらいに歯の隙間からヨダレを垂らしはじめた。
『えがッ!』
一郎さんが言った次の瞬間に二匹はそれにかぶりついた。
取り合いにもならず仲良く食べている。
『めんごいだろぉ?キジの干じ肉が好物なんだっぺよぉ』
『凄い食いつきですね』
僕は二匹が仲良く干し肉を食べてる姿に真理子さんが見えた気がした。
真理子さんがサーロインステーキを食べている時にそっくりだ。
『んじゃあ、先行ぎまじょが』
『まだ先にも何かあるんですか?』
『あるっぺよぉ、愚ノ猪の狩り場ってぇだだっぴれぇ平地があるんだば』
『愚ノ猪?』
『ああ、神聖な狩り場なもんで清めを受げたマタギしか狩れねぇっぺよ』
『一郎さんも狩るんですか?』
一郎さんは二匹に別れをすると、少し困った顔を僕に向けながら歩きだした。僕はそれについて行く。
不意に一郎さんが言った。
『僕ば村一番のマタギなんだべ…』
彼は寂しそうに言った。

