パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第24章 餓鬼

『優子、ノブぐんばおめの身体に宿っだんじゃねッ！鬼神様のどごに行っだんだ…ノブば…選ばれだだけなんじゃば…』

『そんな事ないっぺッ！今村一番の韋駄天ばオレだッ！』

優子はサッと飛び起きると一目散に駆け出した。
僕と一郎さんの周りを走り、時に側転や前転を軽々とこなす優子…楽しそうだった。

地獄の餓鬼…真理子さんが言っていた事は正しいのかもしれない。

『一郎さん…』

優子は悪びれる事なく食欲を選ぶ。
自分の欲望に限りなく忠実に生きているのだ。

『優子は…』

彼女は誰からも何からも縛られて生きていない。
村の秘密も掟も優子にとっては重圧を与える束縛でもなんでもないのだ。

『…足の早いノブを…食べたんですか？』

優子にとって村の常識は常識以上に常識なのだ。
村人みんなは罪の意識を抱いている。
しかし、優子は例外なのだと僕はわかってしまった。

『…食べだ』

僕の問いに一郎さんが力なく答える。それは肯定だった。
優子は足の早いノブを食べたのだ。
自分のボーイフレンドを食べたのだ。

優子は楽しそうに草原を走り回る。まるで何も知らない子供みたいだ。

『…だから言っだでしょ…？僕…くじ運悪いがらっで…』